レンガ職人の夫と質素に暮らして六年。同窓会で夫の仕事を嘲笑された直後、大手企業の会長が現れ夫に「若様」と頭を下げた。夫は千億企業の創業家だったのだ。誰もが玉の輿と羨む中、夫が三ヶ月前から私のあずかり知らぬところで本社の役員復帰を進め、「妻のことは手配する」と答えていたことを知る。節約を重ねた六年間は欺瞞だったのか。私は合鍵を靴箱に置き、家を出た。
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