"「格下」の同級生に頭を下げる夜" 第5話
「事にしたのは、で酒を浴びせかけた桂だ。おが選べ」
それだけを告げ、通話を切った。
画面を伏せ、く息を吐きす。
隣の部から、が温かい湯の入ったマグカップを持って歩いてきた。
「さん?」
「ああ。丸く収めろとさ」
はカップを私のに置き、静かに微笑んだ。
「の借りを、今になって精算させられている気分ね」
「そうかもしれないな」
「あなたのやり方でいいとうわ。途半端な妥協は、あのたちに『また逃げ切れた』という成功体験を与えるだけだから」
のその言葉が、私の背をく支えてくれた。
翌の午分。
タイムリミットの分、同窓会のグループが再びいた。
真紀:『昨夜の同窓会において、桂公平くんが藤森誠くんに向けて方にお酒をかけるという事案が発しました。これは決して悪ふざけや冗談で済まされる為ではありません。会スタッフの方からも厳な注と退請がされております。幹事として、そのですぐに制止し、適切な対応を取れなかったことを、藤森くんにくお詫び申しげます』
文面はく、事実だけが簡潔に記されていた。
言い訳の余を切残さない、確な加害事実の認定。
桂がにわたって築きげてきた「ただのるいムードメーカー」
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という仮面が、公式に剥ぎ取られた瞬だった。
その投稿の直、桂から宛てに凄まじい勢いで抗議のメッセージが連打されたらしい。
『真紀、お狂ったのか!?』『俺を犯罪者扱いする気か!』
だが、はそのすべてを既読スルーしたという。
彼女もまた、自分が保のために踏み留まっていた最の防波堤を、自ら壊さざるを得なかったのだ。
グループ内は、再び気な沈黙に包まれた。
誰として、桂を庇うメッセージをき込む者はいない。
これが、同調圧力で結びついていた関係の脆さだった。
にいたが度でも「加害者」の烙印を押されれば、取り巻きたちは自らの全を守るために斉に背を向ける。
しかし、その沈黙を破る者が現れた。
亮だった。
代、常に桂の斜めろにち、桂が誰かを標にするたび、真っ先に声をげて笑っていた男だ。
亮:『公平のやったことは確かにやりすぎだとう。でもさ、藤森、のことまで引っ張りして攻撃するのは、さすがにげなくないか? 俺たちだってもうすぐだぞ。昔の話はもうに流そうぜ』
画面を見つめる私の元から、たい吐息が漏れた。
げない。
に流す。
加害者側にいただけが、都よくにする特権な言葉。
は、自分が過に何をしていたのかを忘れているのではない。
「あれは若気の至りだった」「みんなやっていたことだ」と自分に言い聞かせることで、罪の識から逃げ続けているだけなのだ。
メッセージの直、から私へ個別のメッセージが届いた。
『藤森、今夜ちょっとだけ会えないか? のことも含めて、ちゃんと話したい』
逃げる気はない。
私はく、駅の喫茶の名とを返信した。
曜の午。
暗い照が灯る喫茶の奥のボックス席に、はすでに座っていた。
擦り切れたビジネスバッグを元に置き、どこか落ち着かない様子で線を泳がせている。
かつて教で響かせていた、あの品で甲い笑い声の主の面は、そこにはなかった。
ただの、くたびれた男性の姿があるだけだ。
私が向かいの席に腰をろすと、はびくりと肩を震わせ、ぎこちなくをげた。
「……来てくれて、ありがとうな」
「話って何だ」
私が注文もせずに切りすと、は気まずそうにアイスコーヒーのグラスを弄んだ。結した滴が、コースターのにさな染みを作っていく。
「昨のことだけどさ……悪かったよ。公平が酒をかけた、俺も止めなきゃいけなかったのに、固まっちゃって」
「止めなかった理由を聞きたいんじゃない」
私はの目を、まっすぐに見据えた。
「おはグループで、『のことを引っ張りすな』といたな」
の指先がぴたりと止まった。
「それは……だってそうだろう? もうもの話だぞ。