"夫の「俺の奢り」は、私のカードでした" 第16話
私が悪かったわ。あなたに甘えていたの。お願いだから、度に来てお茶でもまない? 昔みたいに、族としてやり直しましょう』
私はスクロールすることすら途でやめた。返信は打たず、トークルームを削除し、その番号を静かにブロックリストに入れた。
許さない。同もしない。あのが選んだ裏切りの代償は、あの自の孤独な余で支払うべきものだ。
私は呼吸をし、窓をけた。部のに、たく清らかなが吹き抜けていく。誰のカード細を配する必もない。誰の嘘を暴くために神経をすり減らすこともない。私のと、私の静寂が、ようやく私ののに戻ってきたのだ。
の。
く乾いたコンクリートの埠に、の眩しい差しが照りつけていた。青く広がるマルセイユの。港には無数のいクルーザーが揺れ、くで鳥が潮に乗って鳴いている。
私はサングラスをし、潮のりを胸いっぱいに吸い込んだ。
転職したしい企業での仕事は順調だった。規模は以よりさいが、社員全員が自し、公私の境界が確な通しの良い職だ。正当に休暇を取得し、自分の座から引きしたおで航空券を買い、自分で選んだ沿いのホテルを予約した。
会社の経費は円も使っていない。
広告
誰かの顔を窺う必も、誰かの見栄を繕う必もない。
スーツケースをつ引いて、港に面した亜のブティックホテルへを踏み入れる。理のロビーには、よいジャズが流れていた。
フロントのスタッフが、朗らかな笑顔でパスポートを受け取る。「ボンジュール、マダム。チェックインですね」
「はい。予約していた礼子・フジサワです」
「確認いたしました。素らしい側のスイートをご用しております。デポジットの確認のため、クレジットカードをお預かりできますか?」
私はバッグから、自分の財布をいた。から引き抜いたのは、自分の名だけが刻印された、私個のクレジットカード。
誰かの族カードでもない。誰かの会社の法カードでもない。私自の労働と、私自の信用だけでつ、枚のプラスチック。
端末にカードが差し込まれる。澄んだ、軽な子音がピッと鳴り響いた。
「メルシー。承認されました。お部の鍵でございます」
スタッフが笑顔でカードとルームキーを差ししてきた。「ご滞はお様ですか?」
港から吹き込むよいが、ホテルのテラスのカーテンを優しく揺らしていた。私は穏やかに微笑み、迷いのない声で答えた。
「はい。です」