"家族はすき焼き、義姉だけが台所で水かけご飯を食べていた" 第2話
』
胸の奥で、臓がトクンと嫌なね方をした。
なぜ、義姉が私を呼びすのか。
なぜ、夫に言ってはいけないのか。
そしてなぜ、彼女はあので、たいをかけたご飯をで喉に押し込んでいたのか。
「遥さん、お仕事の方はどうなの? 病院の薬剤師さんって、お料も当もしっかりしてるんでしょう?」
義母がすき焼きのネギを鉢に取り分けながら、探るような線を投げてきた。
「ええ、まあ……般企業の事務職よりは、定している程度ですけれど」
「いいわよねえ。今は共働きの代だし、女のもしっかり稼いで計を支えるのが当たりだもの。直の会社も、景気がいいわけじゃないからねえ。遥さんがしっかり稼いでくれるなら、うちとしても本当にだわ」
「母さん、そういう々しい話はよせよ」
直が苦笑いしながらを挟む。
義母は「何言ってるの、族になったんだからおの話は番事よ」と笑いばした。
族。
その言葉の響きが、先ほど台所で見た景となって、ひどく歪なものにえた。
真帆さんも、このの族ではなかったのか。
、このに尽くしてきたはずの義姉は、なぜあの所で排除されていたのか。
元の計を見ると、分を回っていた。
「あの……すみません。ちょっと胃がくて、駅のドラッグストアで胃薬を買ってきてもいいでしょうか。
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普段んでいるものがあって」
私がちがると、直が配そうに顔をげた。
「丈夫? そうか?」
「ううん、しに当たりながら歩きたいの。すぐそこだし、分くらいで戻るから」
「そう? じゃあ気をつけてね」
直は何の疑いも持たず、再び義兄とビールの注ぎいを始めた。
私は逃げるように瀬の玄関をた。
い引き戸が閉まった瞬、たいのが頬を打ち、肺の奥まで張り詰めていた空気が気に吐きされた。
駅のロータリーから本に入った所に、喫茶「こもれび」はあった。
蔦の絡まるレンガ造りの、昔ながらの純喫茶。
カランコロン、とドアベルを鳴らして内にを踏み入れる。
午の内には客もまばらで、奥のボックス席に、トレンチコートを着た真帆さんの姿がすぐに見えた。
けれど、真帆さんはではなかった。
彼女の向かい側には、私と同代とおぼしき、黒髪をろで束ねた女性が座っていた。
そしてその隣には、さな男の子。
背負ったリュックサックからのキーホルダーを覗かせ、のコースターに鉛で線の絵をで描いている。
「……真帆さん」
声をかけると、真帆さんが弾かれたようにちがった。
その顔には、先ほど台所で見た怯えとは違う、張り詰めた決のようなものが滲んでいた。
「遥さん。来てくれて、ありがとう」
真帆さんの隣の女性も、静かにちがった。
華奢な体つきに、化粧気のない横顔。
その瞳には、い警戒と、隠しきれない疲労のが沈んでいた。
「遥さん、本当にごめんなさい」
真帆さんが、くをげた。
「あなたには、結婚するにる権利がありました。私が……もっとく、どうにかしてあなたに伝えるべきだった。でも、あののにいると、どうしても……」
「あの、真帆さん、体何の話ですか? この方は……」
私の問いかけを遮るように、向かいの女性がさく息を吸い込んだ。
「初めまして。佐藤由と申します」
女性の声はく、ひどく落ち着いていた。
けれど、握りしめられた指先がくなるほど力が入っているのが見えた。
「瀬直さんと……に入籍されたというのは、本当ですか?」
「……はい。に、婚姻届を提しました」
私の返答を聞いた瞬、由さんの唇がわずかに震えた。
彼女は隣で幹線の絵を描いている男の子のに、そっとを置いた。
「悠斗、ちょっとおの見てくる? あそこの窓から、赤い見えるよ」
「ほんと? 見てくる!」
男の子――悠斗くんと呼ばれた子は、懐こい笑顔を浮かべて窓際の席へとトコトコっていった。
そのろ姿を見送り、由さんがゆっくりと私に向き直る。
「単刀直入に申しげます」
喉の奥が、ぎゅっと締め付けられるような予がした。
「この子の父親は、瀬直さんです」