みかん小説
本棚

"引っ越しを手伝った父に5000円、夫が隠した同居計画" 第21話

面会を終え、私は義両親とホテルのロビーで別れた。

義母は、最にそう言って私のをく握った。

「美紀さん、本当にごめんなさいね。そして今までありがとう」

私は、2にをげた。

「お体に気をつけてください。さようなら」

私は2に向かってくお辞儀をし、駅の改札へと向かった。

振り返ることは1度もなかった。

健太が今どれほど惨めな状況にあるのかを聞いても、私のは驚くほど静かだった。

自分が正しいとえば、親も妻も同僚も、誰もが自分のためにくのが当然だという傲さ。

それがついに限界を超え、彼のそのものを崩壊させたのだ。

私は改札を抜け、ホームに滑り込んできたに乗り込んだ。

窓に映る自分の顔は、とてもすっきりとした表をしていた。

彼が自分の瓦礫のでどうきるのか、それはもう彼自の問題である。

私はの揺れにを任せながら、週末に届くはずの観葉植物をどこに置こうかと、そんなことだけを考えていた。

観葉植物が届いた週末。

私は、それをリビングの窓辺に置いた。

きな葉がを透かして、部のによい漏れを作ってくれている。

ソファに座ってその緑を眺めていると、ようやくこの所が私のになったという実が湧いてきた。

引っ越しから数ヶが経ち、季節はすっかりからへと変わろうとしている。

広告

別居、婚、の売却、そしてしいマンションでの活。

目まぐるしく変わった環境も、今ではすっかり私の常として馴染んでいた。

そのの午、私はしれた町にあるショッピングモールへかけた。

物のを見るためである。

1でゆっくりとおを見て回り、気に入ったカーディガンを1枚買った。

買い物を終えて駅へ向かう途。

見慣れたろ姿が目に入った。

しを歩くスーツ姿の男性。健太だった。

彼は休のショッピングモールには似つかわしくない、くたびれたスーツを着ていた。

にはっぽいビニール袋を提げ、し背を丸めて歩いている。

私はわずを止め、くからその姿を眺めた。

別居してから半以、彼と直接顔をわせることはなかった。

最に見たは、まだ自分のに何か取り戻せるものがあるかもしれないという、微かな期待のようなものが残っていたようにう。

しかし今の彼からは、そんなエネルギーは全くじられなかった。

ただ々の活に疲れ果てて、惰性で歩いているだけのように見える。

私は彼に声をかけることもなく、そのまま別の方向へと歩きした。

彼がどうしてこんな所にいるのか、休にどんな活を送っているのか、りたいともわなかった。

それはもう、私のとは全く交わることのない、別の世界の来事だからだ。

数、私は会社で同期の友とランチをべていた。

友がパスタをフォークに巻きつけながら、いしたように言った。

「そういえば、美紀の元旦さん、変みたいね」

彼女は健太の会社の同僚とりいで、々そちらの報をにすることがあるのだ。

友は、声を潜めて続けた。

「変って、会社で完全に干されちゃってるらしいわよ」

私は、フォークを止めた。

「独しようとして客を引っ張ろうとしたのがバレて、しかも同僚からおを借りようとしてたんだって」

私は、静かに頷いた。

あのホテルのラウンジで義父から聞いた話と同じだった。

友は、し呆れたような調で言った。

「クビにはならなかったみたいだけど、今は窓際みたいな部署に異させられて、誰からも相にされてないって」

友は、続けた。

「毎定まで机に座って、誰ともを利かずに帰っていくらしいわ」

私はく答え、サラダにをつけた。

「そうね」

友は、尋ねた。

「美紀はしは気の毒だとわないの?」

友の問いかけに、私はフォークを置いた。

真っ直ぐに彼女の目を見た。

「気の毒だとはうわ。でもそれは、私が同するような種類の気の毒さじゃない」

友は、聞き返した。

「どういうこと?」

私は、はっきりと答えた。

「彼は誰かに騙され運に巻き込まれたわけでもない」

私は、言葉を切った。

「全部自分が正しいと信じて疑わなかった傲さが招いた結果なのよ」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: