"引っ越しを手伝った父に5000円、夫が隠した同居計画" 第15話
私は、自分の気持ちを正直に伝えた。
「ただ、私は彼を慰謝料で徹底に追い詰めたいわけではありません」
私は、言葉を続けた。
「私はただ、自分の財産とこれからの活を、誰にも脅かされない形で完全に切りしたいだけです。な争いでを無駄にしたくありません」
弁護士は、承した。
「承いたしました。特財産である部分は財産分与の対象から確にれますし、ローンも奥様名義ですから、ご主にの権利を主張される配はほとんどありません」
専のその言葉を聞いて、私はようやくの底から堵の息をつくことができた。
夫が『夫婦なんだから』という言葉で曖昧にしようとしていた境界線が、法律という確かな線で引き直された瞬だった。
私は弁護士に財産分与のの作成を依頼し、事務所をにした。
の空気はたかったが、私の取りは今までになく軽いものだった。
方その頃、夫の健太は自分の両親に呼びされ、駅の喫茶にいた。
別居してマンスリーマンションに移ってから、夫が両親と会うのはこれが初めてだった。
義父の夫と義母の久美子はすでにマンションの引き渡しを終え、しい賃貸でパートでの活を始めていた。
夫は、気まずそうに尋ねた。
「しい部は、どうですか?」
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義母は、しだけ疲れたような笑顔を見せた。
「ああ。のマンションよりはずっと狭いけれど、2で暮らすには分よ。駅からいから買い物にも便利だしね」
夫は、肩を落とした。
「母さん、本当にごめん」
義父が、コーヒーカップを置いて静かに言った。
「俺たちは、おに謝って欲しくて呼んだんじゃない」
義父の目は以のようなりではなく、どこか諦めに似た静かなを宿していた。
「美紀さんから、財産理の連絡があった」
その言葉に、夫は弾かれたように顔をげた。
「美紀から?」
義父は、静かに事実だけを伝えた。
「ああ。は美紀さんの特財産だから、おが権利を主張できる部分はないと聞いている」
義父は、続けた。
「その確認と正式なを作りたいという連絡だ」
夫は、両で顔を覆った。
「俺、カウンセリングで美紀にやり直したいって言ったんです。俺が変わればまだにうって」
義母が、諭すような優しいけれど残酷な声で言った。
「健太、いい加減に現実を見なさい」
義母は、続けた。
「美紀さんは、もうあなたを見ていないわ。あなたが変わろうが変わるまいが、彼女のにあなたはもう必ないのよ」
夫は、いがった。
「でも、夫婦だったんだよ。8も」
義父が、たく言い放った。
「その8、おが彼女の気持ちを勝に先取りして踏みにじってきた結果だ」
義父は、きっぱりと言い切った。
「俺たちも同じだ。おの勝な予定に付きって、事なを放すことになった」
義父は、言った。
「だからおは、もう美紀さんを解放してやれ」
夫は何も言い返せず、ただ俯いて唇を噛みしめた。
彼がこれまで『族だから丈夫』と信じて疑わなかったものは、全て彼の傲さが作りげただったのだ。
数。
私は、夫と駅のファミリーレストランで待ちわせをした。
弁護士を通して作成した財産分与と婚に関するを渡すためである。
約束のよりしく着いた私は、窓際の席で夫を待った。
やがてに入ってきた夫は、無精髭をこすっていたが、目のには濃い隈ができていた。
「待たせてごめん」
夫は私の向かいに座ると、されたにをつけた。
私は挨拶もそこそこに、鞄から2通の類を取りした。
「これ、専に入ってもらって理した財産分与のと婚届よ」
夫は類に目を落としたが、すぐにはを伸ばさなかった。
私は、事務な調で説を続けた。
「のことだけど、の部分は私の相続だから特財産になるわ」
私は、さらに付け加えた。
「結婚の活費はあなたがしく負担してくれていたから、その分は預貯の分与で調してあるわ」
夫は黙って類の束を引き寄せ、1枚ずつめくっていった。
そこには、が完全に私のものとして残ること。
そして夫にはそれに相応するわずかな預貯が渡されることだけが、たい数字で記されていた。