"「次男にこの家を譲ります」義母が宣言したのは私名義の家だった" 第20話
けれど、それはもう、私を脅かす力を持たないただの汚れに過ぎなかった。
居の掃きし窓をけ放つ。 たく澄んだのが、部のを気に通り抜けていった。 澱んでいた空気、義母のプライドの匂い、親族たちの無慮な笑い声の残響が、に乗ってすべてへと吹きんでいく。
庭に目をやると、枯れの々の隙から、柔らかな午の陽がり注いでいた。 義母がかつて入れを自していた植え込みの根元に、さな福寿が黄いを咲かせているのが見えた。
靴を脱ぎ、裸で縁側に腰をろした。 たいの触が、の裏からよく伝わってくる。
スマートフォンが震えた。 友であり、今回の件で法務の観点からずっと私を支えてくれた奈緒からだった。
『美咲、婚成したって梨先から聞いたよ。本当にお疲れ様!今夜、関内でまない?』
画面を見つめながら、私はふっと元を緩めた。 『ありがとう。今夜は付きう。でも、し遅くなるかも。今、あのにいるの』
すぐに返信が返ってきた。 『え、あのに? どうするの、その。売るの? それとも誰かに貸す?』
窓のの庭を見つめながら、私はしだけ考えた。
売るのか。 に貸すのか。 それとも、リノベーションして自分の事務所のサテライトにするのか。
まだ、何も決めていない。
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千万、千万という評価額がつこうと、そんなことはどうでもよかった。
事なのは、このをどうするかを、誰の顔を伺うこともなく、親族の圧力に怯えることもなく、私自の志だけで、私が決めたいに決めることができるという事実だ。
「……私のだもの」
声にして呟いてみた。 その言葉の輪郭は、かつて義母が振りかざしていた欺瞞の響きとはまったく違う、静かで、確固たるみを持っていた。
、義父母にきを提供した自分の選択を、私は決して恥じない。 あのの善は本物だったし、困っているを見過ごせなかった当の私の根を、否定する必などない。
ただ、私は学んだのだ。 境界線を引かない善は、やがての傲を育てる餌になり、搾取の免罪符に成りがる。 対等な契約と確な拒絶の権利を持たない優しさは、ただのさでしかない。
族を助けたことは悔していない。 でも、私の善まで族の財産にされたくはなかった。
縁側からちがり、私は空っぽの部を見渡した。 初の柔らかなが、埃の払われた真しい無垢のを、どこまでも真っすぐに照らししていた。