"新調した下着と消えた八百万円" 第4話
キーの解除ボタンを押すと、カチリと乾いた子音が響き、ハザードランプが度だけ点滅した。
運転席のドアをけると、微かに革シートの匂いと、嗅ぎ慣れた内の芳剤のりが漂ってきた。 澪は震えるでダッシュボードをけた。検証のファイル、サングラス、ウェットティッシュ。審なものは何もない。
次に、助席の元やシートの隙に線をらせた。い髪の毛や、女性もののアクセサリーのような、ドラマにてくるような決定な証拠は見当たらない。
(やっぱり、私の考えすぎなんだろうか……)
そうい、堵と落胆の入り混じった溜息をつきかけた、ふと、フロントガラスの部に取り付けられたドライブレコーダーが目に留まった。
最型の、録画タイプのドライブレコーダー。 澪は震える指先で本体のボタンに触れた。メニュー画面をき、録画データのフォルダを呼びす。
「……あれ?」
画面に表示された録画ファイルの覧を見て、澪は息を呑んだ。
曜の午――午から午までのの画データだけが、見事に抜け落ちていたのだ。
そのの通勤の映像は残っている。なのに、横浜にいたはずの数だけが、まるで最初からしなかったかのように、綺麗に削除されていた。
図な消。
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それ以に説がつかなかった。械の故障であれば、ファイル全体が破損するか、付そのものが狂うはずだ。特定の帯だけを選んで消するなど、械を操作するの志が介していなければ絶対にあり得ない。
「貴之……あなた、何をしてるの?」
密閉された内で、澪の喉から渇いた空気が漏れた。
確信が、たい氷の刃となって胸に突き刺さった。 夫は、隠し事をしている。 それも、妻である澪に絶対にられてはならない、決定な何かを。
その、会社での仕事はまったくにつかなかった。
澪は宅メーカーでインテリアコーディネーターとして働いている。施主の希望を聞き取り、壁や照、具の配置を提案する仕事は、本来であれば澪にとって職であり、きがいだった。
しかし、施主の夫婦が嬉しそうにサンプルのカタログを覗き込み、「子供部のクロスは温かみのあるがいいね」「リビングは族みんなが集まれる所にしよう」と語りっている姿を見るたびに、胸の奥を鋭いやすりで削られるような痛みがった。
かつて、自分たちにもそんな季節があったはずだった。 結婚当初、で古マンションの図面を広げ、どんな具を置こうかと夜遅くまで語りっていた。あのの貴之の瞳には、確かに澪へのと、未来へのが宿っていたはずだった。
体、どこで違えてしまったのだろう。
夕方、打ちわせを終えてデスクに戻ると、同期で設計部に所属している親友の結が、缶コーヒーをつ持って澪の席にやってきた。
「澪、顔悪くない? なんか今、ずっとぼーっとしてるけど」
結は鋭い観察を持つ女性だった。学代からの付きいで、澪の性格を誰よりもよくっている。
「……ううん、ちょっと寝なだけ」
「嘘おっしゃい。あんたがそんな顔するの、だいたい旦絡みでしょ」
結は澪の隣の空いている子を引き寄せ、腰をろした。そして声を潜めて言った。
「また、あのこと?」
「あのこと」が何を指しているのか、澪には痛いほど分かった。数ヶ、度だけ酒の席で、夫婦のあいだにまったくスキンシップがないことを結に吐したことがあったのだ。
澪は唇を噛み締め、デスクのに置いたままのたい缶コーヒーを見つめた。 誰かに話さなければ、胸が張り裂けてしまいそうだった。昨夜のラブホテルの約束をあっさり反故にされたこと、横浜のパーキングチケット、消されたドラレコのデータ。それらを、途切れ途切れに、震える声で結に打ちけた。
すべてを聞き終えた結は、いため息をつき、眉を指で揉んだ。
「……澪、覚悟して聞きなさいよ」
「え?」
「それ、、クロよ」
結の徹な声が、オフィスの静寂に突き刺さった。
「平の昼に横浜方面、ドラレコの消、ドラッグストアでの消臭スプレー。