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"赤字物件と笑う夫、毎月9万の裏口座" 第13話

その形相は、まるで獄の底からいがってきた悪鬼のようだった。

『弁護士だと!? 横領だと!? ふざけんじゃねえぞ! おが勝な真似をしたせいで、麻の会社との契約が全部パーになったんだよ! 俺の借はどうすんだ! までにを揃えて払わなきゃ、俺のは終わりなんだよ!』

郵便物の封筒を面に叩きつけ、直はさらに激しく引き戸を蹴りげた。

バガンッ! と鈍い属音が夜のを切り裂く。

『浦恵理! けろ! おみたいな能無しが、俺を差し置いてきていけるとってんのか!? 俺から全部奪い取って、で勝ち逃げできるとうなよ! てめえ、本当に円でも取り戻せるとってんのかッ——!?』

画面の向こうで、狂乱の叫びをげ続けるかつての夫。

私は駅のホームのベンチで、その映像をたく見つめていた。 震えは、完全に消えていた。

喉の奥から、静かな決がせりがってくる。

……ええ、取り戻すわ。 私の25も、父のも、奪われたおも、尊厳も。 円たりとも残さず、すべてあなたから清算してもらう。

私は通話アプリをき、森本弁護士と、川警察署の番号をタップした。

「川警察署です。事件ですか、事故ですか」

通信指令の質な声が、スマートフォンのスピーカーからに刺さった。

「事件です。現、川幸町の私の所する戸建て宅の玄関で、男がドアを蹴り破ろうとして暴れています。

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現の防犯カメラで映像を確認しています。すぐに警察官を向かわせてください」

所と建物の特徴、そして暴れている物が婚協議の夫である浦直であることを、私は震える息をえながら告げた。

続けて、森本弁護士へくメッセージをばす。 『夫が実の玄関を損壊しようとしています。110番通報しました。現へ向かいます』

即座に既読がつき、返信が返ってきた。 『私もすぐに向かいます。絶対にで相にづかないでください。警察が到着するまでタクシーの内からないように』

駅のタクシー乗りからにび乗った。

「幸町まで。できるだけ急いでください」

夜の川のを、タクシーが切り裂くようにる。 元の画面のでは、直が狂ったように玄関のアルミ格子を揺さぶり続けていた。

バガン、バガンという激しい破砕音が、マイク越しにを打つ。 隣の民の2階に、ぽつぽつとかりが灯り始めていた。 カーテンの隙から、怯えたように通りを伺うが見える。

世体を何よりんじ、「所にみっともない姿を見せるな」と私を縛り付けてきた夫が、自らのでその世体を々に踏み砕いている。

タクシーが現のへ曲がり込んだ瞬、くから鋭いサイレンの音が夜空を震わせた。

赤灯のが、古い宅の壁を気に照らしす。

パトカーが2台、滑り込むように実のにした。

「警察だ! そこ、れなさい!」

制を着た警察官3名が斉にびし、ドアを蹴りげていた直を取り囲んだ。

「な、なんだよおら! 邪魔すんじゃねえ!」

直が千鳥で振り返り、警察官を突きばそうと腕を振り回す。 その目は血り、唾を撒き散らしていた。

「ここは俺のだ! 妻の実だぞ! 夫が自分のに入ろうとして何が悪いんだよ!」

「落ち着きなさい! ドアを壊しているだろうが! 凶器を捨てろ!」

直のには、庭の植え込みから引き抜いた太い鉄パイプが握られていた。 それを見た警察官の顔が変わり、瞬で直のの腕を羽交い締めにし、アスファルトのへねじ伏せた。

ガシャンと鉄パイプが面を転がり、直のけない鳴が夜のに響き渡った。

「痛え! せ! 俺は被害者だ! 妻に嵌められたんだよ!」

私がタクシーをりると、ほぼ同に別のタクシーから息を切らした森本弁護士が駆け寄ってきた。

「恵理さん、丈夫ですか」

「はい……」

森本弁護士はすぐさま懐から弁護士バッジと分証を取りし、現を指揮している警部補のにみた。

「所者である浦恵理の代理弁護士、森本です。このおよび建物の名義は浦恵理の単独所であり、被疑者である浦直氏には居権もち入る権限も切ありません。

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