"赤字物件と笑う夫、毎月9万の裏口座" 第12話
産トラブルと民事訴訟に滅法い、頼りになる男です」
午3。 田島さんの紹介で駆けつけてくれた弁護士の森本先を交え、私たちは即座に反撃の続きを始した。
森本弁護士は40代の鋭敏な法律で、持参した証拠類に目を通すなり、「悪質極まりないですね。徹底にやりましょう」と力く請け負ってくれた。
まずは、防線の構築。
直が私の跡を真似て勝に委任状を作成し、法務局へ正な登記申請をすのを防ぐため、管轄のさいたま方法務局川張所に対し、直ちに『正登記防止申』の続きをった。 これにより、万が直が偽造類を持ち込んでも、登記官から私本への厳格な本確認が入るため、勝な所権移転は100%阻止できる。
さらに、直に対する『産管理委任契約の即解除通』。 過5にわたる賃料横領分、計540万円および騙し取られた修繕費の『当利得返還請求』。 そして、佐野さんをはじめとする入居者に対する切の接触・ち退き求の禁止を記した。
それらをすべて盛り込んだ『内容証郵便(配達証付き)』を、直の自宅と勤務先、そして泉麻の勤務先宛てに、信扱いで即発送した。
「これで、チェックメイトの第歩です」
森本弁護士が鏡のブリッジを押しげながら言った。
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「旦さんはもう、歩もけません。勝に建物を処分することも、子を脅すこともできない。もしこれ以勝な真似をすれば、即座に印私文偽造・同使、および業務横領で刑事告訴します」
事務所をたときには、すでにの夕暮れがをに染めていた。
たいが頬を刺す。 けれど、私の取りは羽のように軽かった。 25、私のを縛り付けていた「良妻賢母の呪縛」が、音をてて砕け散っていくのをじていた。
私は川の商に戻り、佐野さんのにち寄った。
「佐野さん、すべて続きを終えてきました」
内でそうに待っていた佐野さんに、弁護士と作成した通の控えを見せた。
「直さんには管理権の解除を叩きつけました。これからは、田島さんの会社が正式にこのビルの管理を引き継ぎます。賃の振込先も変更になりますが、もちろん、佐野さんがここをていく必は切ありません」
佐野さんは類を見つめ、やがて両で顔を覆って泣き崩れた。
「よかった……本当によかった……! 奥様、本当にありがとうございます……!」
「いいえ。泣かないでください。を守るのは、オーナーとして当たりのことです」
ミシンの油の匂い。柔らかな球のかり。 ここで活を営むの涙を見て、私は改めてに誓った。 この所を、絶対にあのハイエナどもの餌にはさせない。
佐野さんに別れを告げ、私は今夜の宿へと向かうため、川駅の改札へと歩きした。
だが、戦いはまだ終わっていなかった。
追い詰められたが、最に何をするか。 プライドをへし折られ、巨額のを取り逃がした男の浅ましさを、私はまだ見くびっていたのだ。
午745分。
私のスマートフォンが、けたたましい警告音とともに振した。 画面に表示されたのは、自宅に設置してあるネットワーク防犯カメラの体検通だった。
画面をく。 そこには、私の実——父が遺した、川の文具の裏にある古い母の玄関先が映しされていた。
私が今夜、ビジネスホテルをチェックアウトして荷物を運び込む予定にしていた、懐かしい。
灯の暗いの。 狂ったように玄関の引き戸を蹴りばし、ドアノブをガチャガチャと力任せに揺さぶっている男の姿があった。
直だった。
ネクタイは千切れそうに歪み、髪は乱れ、昼のエリート気取りの面は微もなかった。 には、先ほど配達されたばかりの、赤のラインが入った内容証郵便の分い封筒が握りしめられている。
ドン! ドン! ドン! と、静かな宅に響き渡る異様な激突音。
画面越しに、スピーカーから直の狂乱した鳴り声が割れて聞こえてきた。
『恵理! てめえ、にいるんだろ! けろ! てこい!』
直は引き戸のガラスに顔を押し付け、血った目でを覗き込んでいる。