みかん小説
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"赤字物件と笑う夫、毎月9万の裏口座" 第7話

『このビルを解体してしい商業ビルを建てることになった。今いっぱいでち退け』って。『来週までに荷物をまとめないと、法な続きを取る』って脅されて……」

「ち退き……?」

「今朝9にも、しい買いというを連れて最終通告に来るって言われていたんです。私、母を介護しながらこの本でべているんです。急にてけなんて言われたら、に迷うしかなくて……昨夜ももできませんでした」

佐野さんの肩が、さく震えていた。

繋がった。 すべての点と線が、恐ろしい精度で本に繋がった。

なぜ、直は昨夜、あんなにも血相を変えて婚届と売却承諾を突きつけてきたのか。 なぜ、「までに返答が必だ」と叫んでいたのか。

買いはもう決まっているのだ。 そして、その買いに引き渡す条件が——『全空でのけ渡し』だったのだ。

佐野さんを力ずくで追いし、更にするか空きビルにして、裏で買いと結託して売り払う。 そのために、名義である私の「売却委任状」が、どうしても今に必だった。

「佐野さん」

私はちがり、佐野さんのを両で包み込んだ。 そのは、たく張っていた。

「してください。私は、この建物を売るつもりはありません。あなたを追いすつもりも、絶対にありません」

佐野さんが、すがるように私を見げた。

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「本当……ですか?」

「はい。この建物の正当な所者は、私です。夫には、あなたをち退かせる権限も、建物を売却する権利もありません。お願いがあります。その賃貸借契約と、通帳の過5分の振込履歴、コピーを取らせていただけますか」

「もちろん! すぐにコピーします!」

佐野さんが駆けでの奥の複に向かった。 が吐きされる規則正しい械音が、私の覚悟を段ずつ固めていく。

そのだった。

私のバッグので、スマートフォンがけたたましい着信音を鳴らした。

画面を見る。 表示されていたのは、【義母】の文字。

息を吸い、通話ボタンを押してに当てた。 スピーカーから、鼓膜を突き破るような切り声が炸裂した。

『もしもし! 恵理さん、あんた今どこをほっつき歩いてるのよ!』

のたい空気を胸いっぱいに吸い込みながら、私は静かに答えた。

「……何でしょうか、お義母さん」

『何でしょうかじゃないわよ! 朝起きたら朝も作ってないし、洗濯も回してない! 嫁の分際でを空けるなんてどういう育ちをしてるの!? 直がり狂って会社をてったわよ! あんた、まさか川のボロにってるんじゃないでしょうね!』

「ええ、川にいます」

『……はあ!? あんた、本当に恩らずのバカね! 直が親切で始末をつけてやろうとしてるのに、余計な首を突っ込んで話をややこしくする気!? いますぐ直に話して謝りなさい! そして類に判を押しなさい! あんたみたいな甲斐性なしがを通そうなんて、100いわ!』

喚き散らす義母の声を聞きながら、私は議なほど静だった。 昨までの私なら、この声を聞いただけで臓が縮みがり、「申し訳ありません」と謝っていただろう。

けれど、今の私には、ただれな老婆の吠えにしか聞こえなかった。

「お義母さん」

私のく据わった声に、義母が瞬言葉を詰まらせた。

「直さんが今まで何をしていたか、すべて分かりました。息子の犯罪の尻拭いをしたいなら、ご自分でどうぞ。私はもう、浦の政婦ではありませんので」

『な、何言ってるのよ! 犯罪って……ちょっと、恵理さん! 恵理さ——』

私は通話を方に切断した。 指先は、もう1ミリも震えていなかった。

通話を切った直、画面に直からのショートメッセージが連投でポップアップした。

『おい、川にいるだろ』 『佐野のババアに変なこと吹き込まれてんじゃねえぞ』 『たかが数万の端だろ。俺が今まで管理してやった賃として相殺してやってたんだよ。文句あるか?』 『今夜、自宅に戻ってこい。切れとして、現で50万円くれてやる』 『その代わり、過の収支に関する免責と、売却承諾に今すぐサインしろ。それで全部チャラにしてやる』

画面を見つめる私のから、たい乾いた笑いが漏れた。

50万円? 540万円以を着し、建物の修繕費まで私に請求して騙し取っておきながら、たった50万円の切れで「免責」

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