"夫のスマホ「あの女は自分から出ていくよ」" 第4話
インターホンを押すと、ドアはすぐにいた。 部着のにカーディガンを羽織った由紀が、私の青ざめた顔と着の着のままの姿を見るなり、何も言わずに腕を引いてに招き入れてくれた。
「千鶴。とりあえず入りなさい。寒かったでしょう」
温かいリビングの匂い。 淹れたてのいほうじ茶の湯気が、え切った私の顔を包み込む。 マグカップを両で包み込んでも、指先の覚がなかなか戻らなかった。
私は由紀の顔を見つめ、掠れた声でこれまでのことを話した。 結婚周のレストランのこと。 夫のスマホに届いたメッセージのこと。 義母からの話。 そして、この半、あので私に何が起きていたのかを。
「……私、ずっと自分が悪いんだとってた」
膝のに置いたバッグのファスナーをけながら、私は言った。
「毎のように『また忘れたのか』って言われて。置いておいたはずの通帳や支払い用が見当たらなくなって。正に『先週言っただろ』って鳴られるたびに、私のがおかしくなったんだって……本当に、自分のの病気を疑ってたの」
私はバッグの底から、冊のさなスケジュール帳を取りした。
表の端が擦り切れた、百円均で買ったいマンスリー帳。 夫や義母に見つからないよう、いつも兼業先のスーパーのエプロンのポケットや、着の引きしの奥くに隠していたものだった。
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「これ……?」
由紀がを乗りす。
「ヶ、どうしても自分の記憶に自信が持てなくなって……怖くなって、毎のを細かくメモするようになったの。正が何に何て言ったか、義母に何を頼まれたか、私がいつ、どこに何を置いたか」
震えるで、帳のページをめくった。
「見て、由紀。これ、ヶの週末の記録」
そこには、私の几帳面な文字でびっしりと予定がき込まれていた。
『〇〇()正:静岡の美咲のところへ幹線でくと言った。チケットの配を頼まれた』
「美咲が学に入って暮らしを始めてから、なかなか会えなくて。正が珍しく『今週末、美咲の様子を見にくぞ』って言ってくれたの。私は嬉しくて、帳にいて、幹線のも調べてた。……でも、当の朝になって正は何て言ったとう?」
喉が詰まり、いものが込みげてくる。
「『は? 俺がそんなこと言うわけないだろ。仕事が入ってるって先週言ったじゃないか。お、勝に美咲に連絡して期待させたりしてないだろうな? 本当に最のおはおかしいよ』って……」
「……ひどい」
由紀が息を呑む。
「義母も横から入ってきてね。『千鶴さん、あなた自分が言いたいこととが言ったことの区別がつかなくなってるんじゃないの? 母親失格ね』って、で私を責めてたの。私は美咲に泣きながら謝りのLINEを入れて……自分が全部勘違いしたんだってい込んでた」
私は帳をさらにめくった。
「これもそう。先の費の請求。私は絶対にキッチンのの引きしに入れたって記録してある。なのに、引きしから消えてて、督促状が届いて正に鳴られたの。でもね、数、絶対に普段は触らない米びつの裏から請求がてきたのよ」
「米びつの裏?」
「そう。そしてね……その請求の端っこに、さな付箋の糊の跡が残ってた。義母がいつも使ってる、い黄緑の、柄の付箋の跡」
由紀は私の帳をじっと見つめ、それから私のスマホに残された写真――夫のスマホの画面をもう度見つめた。
「千鶴。これ、偶然なんかじゃないわよ」
由紀の声はく、りで微かに震えていた。
「完全にやられてる。掛かりで、あなたを図に『狂った妻』に仕てげようとしてるのよ」
「……どうして? 婚したいなら、そう言えばいいじゃない。浮気相と緒になりたいなら、私にそう言えばいいのに!」
私の叫びに、由紀は首を横に振った。
「違うのよ、千鶴。あなたが正気で、相の貞を理由に婚を突きつけたらどうなる? あのは? 慰謝料は? 財産分与は? 正さんは宅設備の会社でそれなりの役職でしょう? 貞で責配偶者になって、もも奪われて世体を失うなんて、あのプライドのい男が受け入れるはずがない」