"毎週木曜日、君が来る" 第6話
ししょっぱい晩ごはん
それから、何かをするに、ひと呼吸置くようになった。
も「今はし話したい」「今はもう寝るね」と、より気軽に言うようになった。そんな、僕は返事をするに、もう1度だけ声を聞いていたくなる。けれど、「おやすみ」と送ってスマートフォンを置くことも覚えた。
ある晩、僕の仕事が引いた。が来たにも、まだパソコンを閉じられなかった。
「ごめん。すぐ終わるから」
そう言ってから、30分たった。何度直しても、同じところでが止まる。背で彼女が待っているとうと、余計に焦った。
「直君」
肩に指先が触れた。
「今は、難しい?」
僕は画面を見たままうなずいた。「丈夫」と言いかけたが、そのまま閉じた。
彼女はし待ってから、机の横にしゃがんだ。
「まだ帰らなくて平気だよ。本、読んでていい?」
「……うん」
しばらくして振り返ると、彼女は膝に本をいていた。目がうと、声をさずに笑い、またページに戻る。
僕は子にく座り直した。あとしだけ頑張ろうとった。今度は、急いで平気な顔に戻らなくてもよかった。
がづくと、部の窓に結がつくようになった。
の母親の膝も落ち着き、約束をしないで緒に夕をべるが増えた。僕が昼休みに「今はシチュー」と送ると、夕方に「パン持っていく」
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と返ってくる。
玄関に着く頃を見計らい、鍋を温め直す。何度もかき混ぜているうちに煮詰まってしまい、そのはが濃くなっていた。
「ちょっと、しょっぱいかも」
は皿でを見てから、僕の顔を見た。
「かなり、かな」
「やっぱり」
「、ししてみようか」
彼女が鍋の横にったので、僕は所を空けようとした。けれど、狭い台所では、くたびに肩が当たった。
「直君、そっちにいると引きしがかない」
「あ、ごめん」
「今度は蔵庫」
2で笑った。結局、僕がパンを切り、が鍋を見ることにした。
窓の向こうはもう暗く、換気扇の音に混じって、隣の部のテレビがかすかに聞こえた。振り向くと、がスプーンに息を吹きかけていた。
「どう?」
「うん。おいしくなった」
差しされたスプーンを受け取る。を確かめてうなずくと、彼女もしたようにうなずいた。
事の途で、がきくあくびをした。
「ごめん」
「いいよ」
「今、お客さんので猫がてきてね。靴をずっと押さえられて、なかなか帰れなかった」
「それは、疲れるね」
「うん。かわいくて、帰りにくかった」
そう言って笑い、また眠そうに目をこすった。
僕は彼女のマグカップにお茶を注いだ。初めて来たに使ったのと同じカップだった。彼女は礼を言い、持ちに指をかける。
玄関でいつも笑っていた彼女が、僕のでは眠そうにしている。
今は話を広げようとしなくてもいいらしい。僕も黙ってパンをちぎり、残ったシチューを拭った。
テーブルので、の靴の先が僕のに当たった。
「ごめん」
「丈夫」
どちらも、それ以を引かなかった。
皿を洗っていると、が布巾を持って隣へ来た。
「座ってていいよ」
「2なら、いよ」
洗った皿を渡す。彼女が拭いて、棚に戻す。次の皿を渡そうとすると、まだ拭き終わっていなくて、僕はし待った。
こんなことを、これからもしたいとった。
楽しいにかける約束だけではなく、何も話すことがない夜にも同じにいて、相が皿を拭き終わるのを待っていたかった。
「ちゃん」
「うん?」
「今度、のあるに、し先の話、してもいい?」
彼女は布巾を止め、僕の顔を見た。僕は蛇を閉めた。
「緒にむとか。仕事のこととか。お母さんのことも含めて」
はのの皿を見ろした。そのまま丁寧に縁を拭き、棚に置いた。
「うん。私も、話したいとってた」
胸にたまっていた息が抜けた。
彼女は僕の濡れたに触れかけ、いったん引っ込めた。壁に掛けてあったタオルを取ってくれたので、僕はを拭いた。
それから、彼女のを握った。