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"義母の葬儀で消えた妻と百八十万" 第5話

確かに、彼らがに物を言わせて仕てさせた派な胡蝶蘭のスタンドに比べれば、ぶりで慎ましいものだったかもしれない。だがそこには、の義母が何よりも好んでいた純のカーネーションと清楚な百をに、義母の穏やかな柄を偲ぶための、俺たちのありったけの真を込めていたのだ。値段の寡でしか物事の価値を測れないこの夫婦の浅ましさに、胸の奥でたいりのがパチパチと音をてて爆ぜた。

やがて定刻がづき、親族や参列者たちが続々と会に集まり始めると、正夫婦の見栄っ張りなパフォーマンスはさらにエスカレートしていった。 「いやあ、伯父さん、方からわざわざありがとうございます。本当にね、母の晩の介護は舌に尽くしがたい苦労の連続でしたよ。私も商社の責を担いながら、週末になれば寝るを惜しんで駆けつけ、できる限りの孝は尽くしてあげたつもりなんですけどね……」 親戚の老格である伯父のを握りしめ、さも自分がすべての介護を背負ってきたかのように語る正の姿を見て、俺はあまりの顔無恥さに呆気にとられてち尽くした。 介護をしていたのは、誰だ? 、毎のように事を運び、の世話をし、夜の徘徊に付きっていたのは、ならぬ俺と由だ。

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正が実に姿を見せたことなど、に度、それもほんの数分、仏壇にをわせるフリをして遣いを無していくだけだったではないか。 直子もまた、親族の女性たちに囲まれながら、ハンカチを袈裟に胸元に当てて芝居を打っていた。 「お母様はね、、うちの主の世を何よりも誇りにってくださっていたんですのよ。『正さんはがの自の跡取りだ』って、主の昇の話をするたびに、ベッドので涙を流してんでくださって……」 これも、完全な虚構だった。 義母が、かららぎをじて目を細めていたのは、俺と由が仕事帰りに買ってきた季節の果物を剥き、のない世話を交わしているだけだった。正の仕事の自話など、義母のから度たりとも聞いたことはなかった。 ふと隣を見ると、由は喪の膝ので両を固く握りしめ、青ざめた顔でじっと畳のを見つめていた。実の兄夫婦が、母親の骸のすぐそばで平然と嘘百を並べてているのをにしながら、言も反論できずに耐えている。その細く震える肩を見ているのが、俺にはたまらなく苦痛だった。

導師が入し、読経が始まると、さすがの正夫婦も私語を慎み、神妙な顔つきを作って席に着いた。 しかし、正の隣に座っていた俺は、読経の最、彼が折横を盗み見ながら、斜めろに座る直子と目配せを交わしているのを見逃さなかった。

眉を微かにかし、唇の端を歪めて図を送りうその表には、母を失ったいしみなど微もじられず、まるでこれから仕掛ける獲物の奪取計画について最終確認をしているかのような、気悪い打算のが宿っていた。

やがて親族の焼の順番が回ってきた。 俺と由は、喪主の族として最にお別れを告げたかったため、正夫婦が先にみるのを見守った。 焼台へとむの所作は、どこまでも芝居がかって見えた。直子はブランド物の黒いハンカチを目元にく押し当て、肩を震わせて泣き真似をしていたが、その指の隙から覗く瞳には、涙の滴すら浮かんでいなかった。正もまた、袈裟に腰を折り曲げてくくをげていたが、その差しには虚無なたさだけが漂っていた。

読経と焼が段落し、別で通夜振るいの席が設けられた。 本来であれば、の故のいや遺徳を静かに偲びながら、親族同士がを通わせうべきである。しかし、正夫婦はこのにおいても、自分たちの輝かしい功績のアピールに余がなかった。 「母の最期は、本当にらかで穏やかなものでしたよ。何しろ、私たち夫婦が息を引き取るその瞬まで、ずっとを握って元で声をかけ続けていましたからね。

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