みかん小説
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"義母の葬儀で消えた妻と百八十万" 第3話

「健太郎君。過ぎてしまった過は誰にも変えられないけれど、これから作る未来は変えられるのよ。丈夫。あなたがその尊い識とを本当に必とするが、この先きっと来るはずだからね」 そのは、傷ついた俺を慰めるための優しい気休めだとしか受け取っていなかった。だが、今にしてえば、義母はあの点で、い未来に待ち受ける何かを正確に予見していたのかもしれない。

由との結婚活は、穏やかで幸福に満ちていた。子宝には恵まれなかったものの、互いをいやり、で寄り添いながらきていく活に何のもなかった。由は専業主婦として庭を完璧に切り盛りし、蔵庫の残り物でも料亭のように美しい料理に仕ててくれた。 ただ、そんな由が、折ふと見せる暗く寂しげな横顔が、俺はずっと気がかりだった。 特に、実の兄である正の話題がると、由は途端に数を減らし、怯えたように線を落としてしまうのだ。

義兄の佐藤正は、俺より歳の歳。誰もが名をる超総商社に勤務する、絵に描いたようなエリートビジネスマンだった。駐の経験もあり、収は俺の倍、いや倍く稼いでいるに違いなかった。その妻である直子も、かつては広告代理で鳴らした元キャリアウーマンで、現は仕事を辞めて専業主婦となっていたが、に着けるもバッグも貴属も、すべてため息がるような級の級ブランドで固めていた。

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このが、俺たち夫婦のことをの底から見し、軽蔑しているのは誰の目にもだった。 正や法事で顔をわせるたび、正は酒の入ったグラスを揺らしながら、これ見よがしに俺の職業や収入を嘲笑ってきたものだ。 「いやあ、健太郎君も変だよねえ。企業の経理なんてさ、毎伝票と睨めっこしてるだけで何が楽しいの? そんな単純作業、あと数もすれば全部AIに取って代わられてお払い箱になっちゃうんじゃないの? 将来の蓄えとか、ちゃんと考えてるわけ?」 そんな侮辱の言葉を投げつけられるたびに、由は申し訳なさそうにを縮こまらせ、涙ぐみそうになっていた。俺自は、自分が選んだの振り方だからと聞き流すことができたが、する妻が実の兄夫婦からそんな屈辱な扱いを受け、惨めないをさせられている姿を見るのは、腸が煮えくり返るほど辛かった。

さらに許せなかったのは、義母の介護に対する彼らの酷な態度だった。 義母が倒れ、寝たきりにい状態になってからの、正夫婦が実や病院にを運んだ回数など、に数回、くてもに度、ほんの分か分ほど顔をす程度だった。それにもかかわらず、親戚や所の々のでは、これ見よがしに劇の息子を演じてみせるのだ。

「母のことは本当に配なんですが、なにぶん商社のプロジェクトを任されていましてね、との差もあって、どうしてもが取れないんですよ」 そんなっぺらい言い訳を並べて、実際の臭い介護の負担は、すべて俺と由の双肩に押し付けられていた。特に由は、実の娘としての責任から、夜に義母が体調を崩せばタクシーをばして駆けつけ、排泄の世話から入浴の介助までをにして尽くしていた。次第に眠でやつれ、目のに隈を作り、体を減らしていく妻の痛々しい姿を見ているうちに、俺の胸には正夫婦に対するドス黒いりが澱のように溜まり続けていた。

義母が息を引き取るの夕暮れ、俺は病のベッドサイドで、義母ときりの最の会話を交わした。 酸素マスクの奥から、美代子さんは途切れ途切れの息ので、俺の腕に細くたい指を絡ませてきた。 「……健太郎君……。由を……あの子を、どうかよろしくお願いしますね……」 「お母さん、気なことを言っちゃいけませんよ。先も頑張ってくださっています。また元気になって、由の料理をべなきゃいけないんですから」 「……いいえ、自分の体のことですから、私にはもう分かるの……。

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