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"身代わり花嫁と一千万円の通帳" 第17話

誠治さんの軽自は通勤で使われていたし、私はまだ凍結したを運転する自信がなかったからだ。

帰り、キロのみを乗せたソリは容赦なくいにを取られてのめり込み、引っ張るロープを持つ私の両は、かじかんで覚を失いかけていた。寒さとみで息ががり、端にち止まって袋にハアハアとい息を吹きかけていた、そのだった。

ブルルンとエンジン音を響かせて、台の軽トラックが私の真横にした。助席の窓から顔をしたのは、源蔵さんだった。

「遥ちゃん! 体全体、こんな吹ので何をしとるんじゃ! 灯油なんぞ、話本すりゃあ商の燃料がんでまで届けてくれるに!」

「げ、源蔵さん……! 丈夫です、ソリで運べますから……!」

「何を言っとる! 倉田君のところならな、末にまとめて請求を回してもらえばええんじゃ。何も慮することなんかないんだぞ!」

源蔵さんはそう言って軽トラからびり、いポリタンクを軽々と荷台に積み込み、私を助席に乗せて自宅まで送ってくれた。

けれど、私はそのも、燃料に灯油の配達を頼むことは頑としてしなかった。

「末にまとめて払う」ということは、誠治さんの財布からさらにおをさせるということだ。毎朝暗いうちからにまみれて働いている夫に、これ以の経済負担をかけることなど、代わりとして嫁いできた私には絶対に許されない罪のようにえたのだ。

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毎渡される万円の封筒だけでは、どう計算しても活費がりなかった。

りない分は、万円しかなかった私の独代の預座から、千円、万円と、千代をちぎるようにして毎引きし、活費の穴埋めに充てていた。

誠治さんは最初に、「りなくなったら言ってね」と優しく言ってくれていた。けれど、そのたった言が、どうしても私の喉からへてこなかった。

(私は、姉の代わりとして押し付けられたなんだもの……)

誠治さんが本当に迎えたかったのは、華やかで美しい姉の也の方だったのかもしれない。それなのに、代わりに来たな私が、嫁いできて々に「おがりません」などと泣き言を言えば、誠治さんは底失望するに違いない。

夜勤けで疲れ果て、のように眠る夫の背を見るたびに、そのいは固な呪縛となって私を縛り付けた。

母の言っていた通り、私は「しっかりした、い娘」でいなければならない。誰のも煩わせず、誰にも迷惑をかけず、笑顔でやりくりをこなしてこそ、私がこのに置いておいてもらえる唯の理由なのだから。

誠治さんが夜勤での夜、古い平はシンシンと底えし、静寂がに痛いほどだった。

私はストーブのを極限までさく絞り、こたつに潜り込みながら、擦り切れたノートの計簿をいた。

灯油を滴でも節約するために、夜を過ぎるとストーブを完全に消し、のウール靴を枚ねて履き、綿入れ半纏を着込んだまま布団に潜り込んだ。

そんな凍える夜に限って、スマートフォンの画面がピカリとり、姉の也から写真付きのメッセージが送りつけられてきた。

本の級ホテルのラウンジで、調したとわれるフランス製のブランドバッグを膝に乗せ、夜景をバックにシャンパングラスを傾けて微笑む姉の姿。

『見て見て〜! 今頑張った自分へのご褒美! やっぱり女磨きにはおを惜しんじゃダメよね! 遥もたまにはオシャレしなよ〜、あ、田舎じゃ着ていく所もないか!(笑)』

私はスマートフォンの画面を伏せ、え切った掛け布団をからすっぽりとかぶって、暗のでギュッと目を閉じた。

に入ると、誠治さんは朝の席で、私の顔をじっと覗き込んで首をかしげることが増えた。

「……遥さん。なんだかし、痩せたんじゃないかい? 顔もし青いし……ちゃんとご飯、べてる?」

「えっ……? べてますよ! ほら、毎かきをしているから、ちょっとした良い運になっているのかも」

私は精杯の作り笑顔を浮かべて取り繕った。誠治さんは私の目をしばらく見つめていたが、それ以追及することはせず、「無理だけはしないでね」

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