"鍵をかけた部屋で、誰かがシャワーを浴びている" 第15話
紗織」
彼女の音が、ざかっていく。 私は縛りに遭ったように、エントランスの自ドアのでち尽くしていた。 夜の気が、コート越しに肌を突き刺す。
震えるでキーを取りし、エントランスのオートロックを解錠した。 ガラス扉がき、かな照の灯る集ポストのエリアへを踏み入れる。
〇号のダイヤル錠。 いつもなら無造作に回す暗証番号を、指先が張って度も違えた。 ようやくカチャリと音がして、ポストの蓋がく。
には、ピザのチラシが枚。 局の検針票が枚。
そして。 連絡票が枚、底に落ちていた。
拾いげる。 宅配業者の、再配達用の伝票だった。 お届け先欄には、きのボールペン文字で、こう記されていた。
『〇号 梨様方 宮澤由佳様』
依頼主の欄には、印字された酷な文字。 『埼玉県川 Tajima Esthe』
ご連絡票の発は、。 私が張に発した、まさにそのの付だった。
ポストの属のたさが、指先から全へと侵していく。
由佳は、私の部に忍び込んでいただけではなかった。 私の所を、私の名を、私のポストを、あの血塗られたサロンの『受け皿』として登録していたのだ。
らなかったでは済まされない。 部の記録において、私の部は、私の活は、最初から共犯の拠点として類のに刻み込まれていた。
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ポストの蓋が、カランと虚しい音をてて閉まった。 暗いエントランスの静寂のに、私自の浅い、震える呼吸の音だけが響いていた。
連絡票の赤い印字を見つめたまま、私はオートロックの内側でち尽くしていた。
指先が氷のようにたかった。 切れ枚のさが、私のこれまでの平穏な活を根底から押し潰そうとしていた。
『〇号 梨様方 宮澤由佳様』 『ご依頼主:埼玉県川 Tajima Esthe』
由佳は私の部をただの逃げや洗濯にしていたのではない。 公な物流のネットワークを使い、私の部番号と私の苗字を、暴力事件の隠蔽作の継点としてシステムに刻み込んでいたのだ。
もし私がこの票に気づかず、あるいは由佳が私の留守に何わぬ顔でこれを回収し、再配達を受け取っていたらどうなっていただろう。荷物はこの部に運び込まれ、私の部のドアの向こうで保管され、万が警察が川のサロンから宅配の伝票を辿ってきたとき、受取先の所として捜査官が踏み込んできたのは、私のこの部だったはずだ。
「……っ」
私は郵便受けの蓋を閉め、票をコートのポケットに押し込んだ。 部へ戻る取りは鉛のようにかった。 エレベーターの防犯カメラのレンズが、まるで私を監しているかのように黒くっている。
部に入り、ロックをかけ、ドアチェーンをはめ、ドアスコープの蓋を閉める。それでも、の廊にまだ由佳がっているのではないかという悪寒が消えなかった。
私は靴を脱ぐのも忘れ、玄関のがり框に座り込んでスマートフォンを取りした。 履歴に残っていた埼玉県警川警察署、佐伯刑事の名刺の直通番号を押す。
コール音が回鳴って、すぐにつながった。
「はい、川署刑事課、佐伯です」 「あ……梨です。練馬の梨紗織です」
私の切迫した声に、受話器の向こうの空気が即座に引き締まった。
「梨さん、どうしました。何かありましたか」 「由佳が……宮澤由佳が、私のマンションのに来ました」 「接触されたんですか? 怪はありませんか」 「怪はありません。でも、彼女は……私の郵便受けに、川のエステサロンから荷物が届いていると言いました。今、郵便受けを確認したら、本当に連絡票が入っていました。宛名が、『梨様方 宮澤由佳』になっています」
受話器の奥で、カサリと類がめくられる音がした。
「……なるほど。田島が発送したとされる残りの備品ですね。梨さん、その票に記載されている伝票番号を読んでもらえますか」
数字を読みげると、佐伯刑事はく息を吐いた。
「違いありません。田島が舗くのコンビニから発送した伝票の控えと致します。
品名は何とかれていますか」 「『類・リネン』と……」