"鍵をかけた部屋で、誰かがシャワーを浴びている" 第12話
数万円の料。そして、万円の端。 そのために、あいつは。
「宮澤は最初、コインランドリーを使おうとした形跡があります。しかし、防犯カメラやの目を恐れたんでしょう。庭用のゴミとして捨てるにしても、回収業者に見つかれば通報される。燃やす所もない。追い詰められた彼女が選んだのが――『留守がちで、活リズムが規則正しく、鍵を持っている親友の部』だった」
佐伯刑事の乾いた説が、私のので々しい映像となって再された。
張の朝、私がをるのと入れ替わりに、きなトートバッグを抱えて私の部に入ってきた由佳。 浴の湯をし、血で固まったエプロンを浴槽に沈め、漂剤を注ぎ込んで、素で必に揉み洗いする彼女の姿。 しかし、血は落ちない。繊維の奥まで固まった赤黒い染みは、いくら擦っても消えらない。 そうしているうちに、私が張から予定よりく戻ってくる、あるいは私が眠りから覚めるが迫ってくる。 焦った彼女は、半乾きのエプロンとタオルを圧縮袋に詰め込み、黒いゴミ袋で何にも縛りげ、私の洗面台の、奥くの隙に押し込んだのだ。
(な隠し所のつもりだった)
そうだ。由佳は最初、洗って乾かしたらすぐに持ちるつもりだったに違いない。
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だが、落ちない。捨てる所も見つからない。持ち歩けば職務質問で発覚するかもしれない。 恐怖と焦燥ので、あいつは「番全な所」として、私の部にそれを放置し続けたのだ。
そして、夜に何度も私の部へ侵入した理由。 それは「シャワーを借りに来た」のではなく、隠した荷物の様子を確認し、隙を見て運びす会を窺っていたからだ。
「……由佳は、あの夜」 私は震える声で絞りした。「私が部にいた夜、何をしてたんですか」
「田島から、そろそろ処分は終わったのかと催促されていたようです。携帯の通話履歴を調べれば裏が取れるでしょうが、おそらく彼女は、あの夜こそ荷物を回収しての別の所へ移そうとしたんでしょう。しかし、洗面台から引っ張りしたところで、あなたが目を覚ました」
――今はどうしてこんなにく起きちゃったの? ――もう戻って寝なよ。すぐ終わるから。
あの台の、本当のが、氷のようにたく腑に落ちた。
由佳は、私が起きてきたことに驚いたのではない。 『予定のに起きられたら、荷物を運びせなくなる』から、あの平然とした調で、私を寝へと追い返そうとしたのだ。 もし私が「戻って寝て」いたら、あいつは何わぬ顔で荷物を抱え、私の寝顔の脇をすり抜けて、夜のに消えていたはずだった。
「梨さん」 武田刑事が、静かだが厳しい声音で言った。
「あなたのお気持ちは察しますが、客観な事実として、あなたの自宅が傷害事件の証拠隠滅の現として使用されていたことになります。今、宮澤由佳の柄を確保し、取り調べをうことになりますが、あなたにも証として、また現となった宅の提供者として、事聴取や実況見分に協力していただく必があります」
「……宅の、提供者?」
その言葉の響きに、胸を針で刺されたような痛みがった。
「もちろん、あなたが善の第者であり、切事をらなかったことは理解しています。しかし、鍵の管理状況や、宮澤が過に何回ち入ったか、あなたがそれを本当にらなかったのかどうか、法な続きとして厳密に裏付けを取らなければなりません。田島の弁護士が『第者の部に隠されていた以、証拠の同性が疑わしい』と主張してくる能性もありますから」
警察署をたとき、計の針は午を指していた。 空は相変わらず澄み渡っていたが、吹き抜けるのたさが骨にしみた。
私は被害者だったはずだ。 平穏な暮らしの部を赤のに侵入され、恐怖で夜も眠れず、ホテルを転々としていた被害者だったはずだ。 それなのに、いつのにか私は、「事件の証拠が隠されていた部の主」
として、警察から疑と確認の目を向けられるになっていた。
由佳の浅ましい保が、私の活の尊厳を、元からのに引きずり落としたのだ。