みかん小説
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"鍵をかけた部屋で、誰かがシャワーを浴びている" 第4話

「ピッキングの痕跡はありません。正規の鍵、あるいは極めて精巧な複製キーで解錠されています。当たりは本当にありませんか? 別れた交際相とか、親族とか」

「ありません……誰も、持っていません」

そう答えかけて、喉の奥に骨が刺さったような違がった。

本当に、誰も持っていないだろうか。

脳裏に、ひとつの顔が浮かんだ。 だが、私はすぐにそれを打ち消した。そんなはずはない。絶対にあり得ない。来の友で、私にとって京で最も信頼できるを、こんな異常な事態と結びつけるなんて失礼にもほどがある。

その夜、私は警察の事聴取を終えたあと、とてもその部に留まる気にはなれず、最限の着替えだけをバッグに詰め込んで、池袋のビジネスホテルに避難した。

ホテルの狭いシングルルームのベッドに座り込んでも、体の震えは止まらなかった。 気を消すことができない。目を閉じると、あの乳の折れ戸の向こうから響いてきた、あの言葉が元で蘇る。

――今はどうしてこんなにく起きちゃったの?

声の主は、私の起をっていた。 私がいつも何に眠り、何まで起きないかをっていたのだ。 ということは、あの女は、今夜初めて私の部に入ったわけではない。 私がい眠りに落ちている、何度も、何度も、あの鍵をけてに入り、私の呂を使い、私が目を覚ますに静かにちっていたのではないか。

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胃の奥から酸っぱいものがせりがってきた。 両でを押さえ、ベッドので膝を抱えてさく丸まった。

翌朝、スマートフォンのバイブレーションで目を覚ました。 画面を見ると、宮澤由佳の名が表示されていた。

由佳は歳。私よりつで、埼玉の川にあるさなエステサロンで働いている。代半ばの頃、板のアパートでルームシェアをしていた期があり、お互いの性格も活習慣もり尽くした、私にとって姉のようなだった。

通話ボタンを押すと、受話器の向こうから配そうな、しい声が聞こえてきた。

「もしもし、紗織? LINE見たよ、部で何かあったの? 丈夫!?」

夜、警察が帰ったあと、あまりの細さに「部に審者が入った、今ホテルにいる」とだけいメッセージを送っていたのだ。その声を聞いた瞬、張り詰めていた糸が切れ、涙がこぼれそうになった。

「由佳……うん、ちょっと、信じられないことがあって」 「今どこにいるの? 仕事は? 私、今シフト夕方からだから、すぐそっちけるよ。顔見て話そう?」

彼女のいつもの温かい気遣いが、え切ったに染み渡るようだった。 私たちは駅のコメダ珈琲で流することにした。

過ぎ、内のボックス席に座っていると、由佳が息を切らして入ってきた。

肩にかかる栗のボブヘアに、落ち着いたベージュのトレンチコート。いつも通りの、清潔のある奇麗な佇まいだった。彼女は私の向かいに滑り込むように座ると、私の青ざめた顔を見て、痛ましそうに眉をひそめた。

「紗織、ひどい顔……本当に丈夫? 怪はなかったの?」

「うん、体は何ともない。ただ、怖くて……」

私は昨夜起きたことを、できる限り詳細に話した。張から戻ったときの排の髪の毛のこと。真夜のシャワーの音。そして、ドア越しにかけられた言葉のこと。

由佳は運ばれてきたアイスティーにもつけず、を乗りして私の話を聞いていた。折、「信じられない」「気持ち悪い」とでを覆い、私と同じように恐怖に震えているように見えた。

「警察は何て?」 「鍵を使われた能性があるって。でも、誰にも貸してないし……あ、でも」

私は瞬、言葉を濁した。 由佳は首を傾げて私を見つめている。澄んだ、きな瞳だった。

「でも、何?」

「ううん……由佳にも、鍵は預けてなかったよね、最は」

「え? うん、もちろん。昔シェアしてたときの鍵は解約のに返したし、今の練馬の部の鍵は、ほら、のに紗織が入院したときに週預かったのが最じゃない? 退院したそのにちゃんと返したでしょ」

「……そうだよね。ごめん、疑うようなこと言って」

「いいのよ、それくらい神経質になって当然だよ。

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