"末席の男が放った三百億の通告" 第24話
と言するだろう。だが、その必はなかった。あの枚の名刺と裏きだけで、すでに罪状としては分にりていたからだ。りているものに余計なものを乗せすれば、それは客観な経営判断ではなく、ただの私怨に見えてしまう。
エリには、何も見えていなかったのだ。
昼の分の点で、王の本では、法営業部が朝からの百億円解約通の対応に追われ、蜂の巣をつついたようなパニックに陥っていた。
エリは同じ建物のにいる経営企画部の次だからこそ、「法営業のフロアが半泣きで騒ぎになっている」という表面な空気だけは察できた。だが――誰の預がいたのかという核報までは、彼女のには入っていなかった。
入らないまま、彼女は『まさか弘じゃないよね(笑)』と無邪気にき込んで嘲笑したのだ。
自分の勤めるで起きている未曾の危を、同級の誇妄としてあざ笑い、その破滅の引きを引いた張本が自分自であることなど、にもい至っていなかった。
俺は、このエリのき込みに対して、議なほど腹がたなかった。
腹をてる対象としての久エリというは、このの朝の役員会ですでに俺ので清算を終えていたからだ。すでに結論をした相に対して、いまさらを波たせる必など何つない。
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俺の胸の奥で静かに燃えがったのは、貞子のあのを見たときだった。
正確に言えば、百のたい沈黙のに、ぽつんと宙吊りにされたあのを見たときだった。
田貞子は、あのをき込むまでに、おそらく分もの、で迷い続けたはずだ。
分にエリの投稿が始まってから、分に送信ボタンを押すまで。昼休みの図館のカウンターの片隅で、スマートフォンをいては溜息をつき、画面を伏せては胸を痛め、それでも誰かを庇うために、震える指先で文字を打ち込んだのだ。
彼女は、誰かを攻撃するために声を荒らげるようなではない。
それでも、見過ごすことができずにき込んだ。
そしてき込んだ結果、誰からも拾われず、たい沈黙のに放置された。
拾われないことなど、彼女自、最初から痛いほど分かっていたはずだ。分かっていて、それでもかずにはいられない――それが、田貞子というだった。
、誰に頼まれたわけでもない授業ノートを、冊にもわたって俺の机のに差し入れ続けてくれたあの放課と、何つ変わっていなかった。
周囲に認められるかどうかなんて、このがを起こす理由のには、最初からミリも含まれていないのだ。
俺はその気さをっていた。っていたからこそ、彼女の純粋な善が、こんな劣な所で無残に踏みにじられている景に、激しい憤りを覚えずにはいられなかった。
俺は、松本に話をかけた。
『……弘か。見たか?』
松本が、受話器を握りしめるようにして即座にた。
「ああ、見たよ」
『どうする? 俺が今すぐ管理者権限で消すか?』
「……消さなくていい」
『えっ……いいのか? あんなことかれてんだぞ?』
「久エリが、自分のでいたものだ。それを残すか、消すかは、あいつ自が決めるべきことだ。おが管理者として消せば、角がつ。それは幹事であるおの仕事じゃない」
松本は息を呑み、沈黙した。
『……お、ってないのか?』
「ってるよ。だが、久に対してじゃない」
『じゃあ、誰にってんだよ?』
「……このき込みを見て、見て見ぬ振りをして沈黙している、百全員に対してだ」
受話器の向こうで、松本が息を詰まらせ、ギシリと子を軋ませる音がした。
『……俺も、その百のうちのだな』
「おは、俺に話をくれた。事実をらせようとしてくれた。それで分だよ、松本」
松本は何かを言いかけようとして、喉の奥で押し殺した。そして、掠れた声で尋ねてきた。
『……弘。お、本当に百億なんて……持ってるのか?』
俺は答えなかった。答える必は、もうどこにもなかった。
「……曜になれば、おがるべきことは、おのに自然と入るよ。