"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第18話
、過の百万円については、資した各親族が個別に借用および振込記録を精査し、返還請求の続きをめること。 、美紀さんが保する婚調調に基づき、未払いのまま効にかかっていない過の養育費について、修司の与および資産の差し押さえ続きを始すること。
に署名する父のは、激しく震えていた。 ペン先が何度もを引っ掻き、掠れたインクで自分の名をき込む。
印鑑を押すその瞬、父は涙を浮かべて私を見げてきた。
「……灯。すまなかった。俺が……俺が悪かった。これからは、本当の父親として――」
「度と、私のに現れないでください」
私の声は、の朝の面のように静かだった。
「あなたに父親と呼ばれたことも、されたことも、私のには度もありませんでした。これからも、必ありません」
父は息を呑み、力なく畳のに項垂れた。
叔父がいため息をつき、母と私に向かってくをげた。
「美紀さん、灯ちゃん。……本当に、すまないことをした。内の浅ましい欲に目が眩んで、おたちを疑い、傷つけ続けてきた。親族を代表して、から詫びる」
の親戚たちも、いたたまれなさそうにをげた。 母は静かに礼を返し、それ以の言葉を交わすことなく、きびすを返した。
料亭をると、夕暮れのには澄んだのが吹き抜けていた。
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くの空が、茜から群青へとグラデーションを描いて暮れていく。 私はきく息を吸い込んだ。 肺の隅々まで、たく清らかな空気が満ちていく。
「……お母さん」
「ん?」
隣を歩く母の横顔を見げた。 、たい払いをらい、泣きながら私を抱いてをらせた。 の油の匂いに塗れながら、度も音を吐かずに私を育てげてくれた。
「お腹、空かない?」
私の問いに、母はふっと表を緩め、いたずらっぽく笑った。
「空いたわね。あんな席の料理、も喉を通らなかったもの」
「美しいもの、べにこう。私の奢りで」
「あら、文具メーカーのOLさんに奢ってもらっちゃおうかしら」
私たちは顔を見わせて、さく笑った。 取りは、羽のように軽かった。 もの、見えない糸で縛り付けられていたい枷が、跡形もなく消えっていた。
ヶ。 初のえ込みがよい曜の昼がり。
私たちは、実のアパートからほどい、さなイタリアンレストランのテラス席にいた。 今は、母の歳の誕だった。
テーブルのには、焼きたてのピザと、湯気をてるトマトソースのパスタ。 そして、母の妹である叔母が笑顔でワイングラスを掲げていた。 、泣き崩れる母のために、あのおい初めの写真を撮ってくれた叔母だ。
「お姉ちゃん、歳のお誕おめでとう!」
「ありがとう。こうしてで気兼ねなく笑えるが来るなんて、ってもみなかったわ」
母は照れくさそうに笑いながら、運ばれてきたさなバースデープレートのロウソクを吹き消した。
私は席をち、テラス席の植え込みのに脚をてた。 セットしたレフカメラのセルフタイマーのボタンを押す。
ピピピ、と軽な子音が鳴り始める。
「灯ちゃん、くく!」
叔母に招きされ、私はりで母の隣へと滑り込んだ。 母の肩にを回すと、母が私のをそっと握り返してくれた。 温かくて、し骨張った、確かな温もり。
レンズの向こうには、澄み切った青空が広がっている。
ここには、体面のために切り貼りされた赤のは誰もいない。 世体のために無理やり笑顔を作らされた偽物の族もいない。
のも、のも。 私のをさずに、だらけになりながら緒に歩いてきてくれたたちだけが、ここにいる。
カシャリ、と乾いたシャッター音が響いた。
来がった液晶画面のの写真は、しだけでびしていたけれど。 写っている全員が、涙がるほど、真っ直ぐに笑っていた。