"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第27話
「お母様は、と公平は呼び捨てにするのに、莉子だけを『莉子ちゃん』と呼び続けました。お産のケーキはつだけ。持ってきた煮物は秀さんのにだけ置く。『あんたの親戚の子なんだから、あんたのパート代で育てろ』『あんたががらないから秀がだ』……私の親戚の子だと信じ込んでいた状態でさえ、それだけの差別を平然とねてきたのです。もし最初から『倫相がんだ子供』だとっていたら、お母様はあの子に体どんな言葉を浴びせていたでしょうか?」
義母は言葉を失い、蒼な顔のまま固まっていた。
反論できないことこそが、何よりのかぬ証拠だった。
「母さんは関係ないだろ!」
夫が横から見苦しく鳴り込んできた。
「俺が嘘をついたんだ! 母さんはそれを信じただけだ!」
「嘘を信じたが、この、目のの子に何をしてきたのか。それを今、お義母様ご自がので数え直していらっしゃるのです。あなたがを挟む筋いではありません」
夫は言葉を詰まらせ、を噤んだ。
義母は戸籍謄本を卓のに置いた。だが、そのは刻みに震え、用かられることはなかった。
「……にもわなかったわよ」
義母は私を見ようとせず、宙を見つめながら震える声で呟いた。
「秀が度きりの過ちだったって泣きついたから……歳の子を連れてきたも、ゆきさんの親戚の事だって言うから……私はそれを信じ切っていたのよ。
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自分のんだ息子を信じない母親が、この世のどこにいるっていうのよ……!」
私は答えなかった。返す言葉はいくらでもあったが、それは義母自が自分の胸にを当てて見つけすべき答えだった。
「じゃあ……ゆきさんは……」
義母が恐る恐る私の方へと顔を向けた。
「この子と……法律は……」
「法律、私は莉子の親ではありません。婚が成すれば、ただの赤のです」
私は戸籍謄本を指差した。
「私は度も、莉子と養子縁組をしていません。この公な類のどこを探しても、莉子の母親としての私の名はもありません。父・瀬秀、母・野島マキ。それだけです。ですから、私が勝に莉子を連れてこのをていく法な権限は、最初からミリもしないのです」
義母は再び用に目を落とし、私の名を探すように線を彷徨わせた。
「縁組を……しなかったの?」
「したかったのです」
私は夫の顔を真っ直ぐに見据えた。
「の夜と、の学入学の。度にわたって、私は『養子縁組をして、正式に莉子の親になりたい』と秀さんに頼み込みました。ですが、度とも秀さんが拒絶したのです」
夫が顔をねげた。
「だったら、今から続きすりゃいいだろ! 用がいるなら俺が署名してやる! 承諾してやるから、連れてけよ!」
「に『しなくていい』と言ったのは、あなたでしょう!」
私の凛とした声が、夫の浅ましい鳴り声を切り裂いた。
「『今はいい、切れなんて関係ない、族なんだから』と話を打ち切ったのはあなたです! には『今更面倒だ』と切り捨てた! 度も拒絶しておきながら、今、莉子を邪魔な荷物としてから追いすためだけに、その切れを都よく用しろと言うのですか!?」
夫は言葉を失い、喉を鳴らして沈黙した。
面倒だ、という言葉の本当のを、私は経ったいま、この男の醜い顔ので完全に暴きしていた。
面倒だったのは役所の続きなどではなかった。私が法に莉子の母親になってしまえば、いつか私を都よく追いすに、莉子を邪魔者として押し付けることができなくなるからだったのだ。
「それから、もうつ」
私は膝のの封筒に再びを伸ばした。
「先週の曜、お義父様の回忌の席で、あなたはフミ叔母さんので何と仰いましたか? 『ゆきがから拾ってきた子だから、俺が面倒を見てやってる』と笑いましたね」
夫の目が泳いだ。
「拾ってきたのは私ではありません。の、歳のあの子のを引いてこの玄関に連れてきたのは、あなたです。あの子が最初に縋り付いたのは私のスカートの裾だったけれど、あの子をこの過酷なへ連れ込んだのは、あなた自のです」