"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第24話
『でも、本当に莉子を連れてこないよね? 私、今さら子育てなんて絶対に無理だよ?』
『当たりだろ。全部ゆきに押し付ける。あいつが母親なんだからな』
『よかったー! 莉子はゆきさんに任せればだよね!』
度、読み返した。
実の父親と、実の母親が交わした会話だった。
自分が産み落としておきながら歳で遺棄した実の娘を、「今さら子育てなんて無理」という軽極まりない言葉でに押し付けようとしている。
『。活費を減らした。あいつがキレて自分からてくように仕向けてる。向こうから言いさせないと、俺が悪者になっちゃうからな』
『さすが秀、いい!』
『母さんにも吹き込んでおいた。「ゆきが莉子を遇してる」ってな。母さんが勝にゆきを責めてて追い詰めてくれるはずだ』
『。ごめん、できなくてに話しちゃった! 息子君がたよ』
『に掛けるなと言っただろ! 莉子のことも度と聞くな!』
『だって、本当にちゃんと育ってるのか気になっちゃって。ゆきさんが全部で面倒見てるのか、確かめたかったんだもん』
あの気な話の真相が、すべて見した。
あの子を配しての話などでは毛なかった。自分が捨てた子供が、予定通り妻である私に押し付けられたまま放置されているかどうかを、点検しただけだったのだ。
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『。今、あいつに「そろそろ決めろ」って言ってやった。「連れててけ」ってな』
『で、何て?』
『「いうちに母さんも交えて話す」って観したよ』
『には婚成だね! そしたら私たち、完全に自由だね!』
『ああ、自由だ』
自由。
は、そう記していた。
の婚姻活と、の子供たちと、妻である私ののすべてを「邪魔なゴミ」として放りし、自分たちだけが何わぬ顔で自由をに入れようとしていたのだ。
私は自分のスマートフォンを取りし、画面に表示されたメッセージの数々を、付と送信者名が完璧に写るように枚ずつ撮していった。ののから現に至るまで、全画面分の決定な証拠。
撮を終えて夫の端末を枕元へ戻した、リビングの壁掛け計は夜のを回っていた。
私の胸の奥にあったりは、完全に凍結していた。
夫は、私が莉子を置いてをられないと確信している。だからこそ、まとめて引き取っててくと信じて疑っていない。
だが、夫は致命な見落としを犯していた。
の夜に「なんて関係ない」と言い放ち、のに「今更面倒だ」と拒絶した、あの養子縁組の用。
そのがしないという事実が、いま、夫自の退を完全に塞ぐ鉄の扉になっているということに、この男はまだ何つ気づいていないのだ。
私には、莉子を連れてる法な権利がない。
それは私の最の点だとい込んでいた。だが、違った。
私が莉子を引き取らないと宣言した瞬、あの子の親権と養育の義務は、法に実父である夫にくのしかかる。
が目論む「自由」などという甘美な結末は、私が「はい」と子供を引き受けてをてかない限り、絶対に成しないのだ。
――あの子を、婚のついでに押し付けられる荷物になど、絶対にさせない。
実の父親である秀に、親としての責任を骨の髄まで背負わせてやる。
それが、母親として私が莉子にしてあげられる、最の、そして最の盾だった。
、曜。
パートの昼休憩、私の携帯に義母から話が入った。
『ゆきさん! あんた、莉子ちゃんを親戚のに追い返したがってるんですってね!? も育てておいて、今さら何考えてるのよ!』
夫は倫相には「ゆきがとも引き取る」と約束し、義母には「ゆきが莉子を追いそうとしている」と嘘を吹き込んでいた。
すべては、自分のを汚さずに私を悪者に仕てげるためのの作だった。
「お義母様、今度の曜の午に、がへお越しいただけますか。秀さんにもいてもらいます。莉子のことで、切なお話しいがあります」
『……何の話よ』
「莉子の、これからのことです」
『くわよ! どうせ曜はくなんだから!』