"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第18話
私が、莉子をがっていない。
夫が、義母に対してそう吹き込んだのだ。
「あんたが子供をがらないから、秀がじゃないの! 自分の血も入っていない余所の子供を引き取って面倒を見てやってるのに、そので嫁に庭でたくされて……秀がどれだけ気を遣って肩の狭いいをしてるか、あんたには分からないの!?」
義母は乱暴に靴を脱ぎ捨て、ドカドカと居へがり込んできた。
私はその丸まった背を見つめながら、ので瞬に付と状況を刻み込んだ。
『、曜半。義母の発言。夫が義母に吹き込んだ虚偽の内容』
莉子を切がろうとしないのは、ならぬ夫の方だった。自分から度も話しかけず、絵も見ず、学事にも顔をさず、活にかかる費用すら円もそうとしない。
そのな加害の事実を、夫は義母に対して「ゆきがたい」「ゆきが莉子をがらない」と、加害者と被害者のを完全にすり替えて報告していたのだ。
そう言い訳しておけば、義母がどうくかを夫は熟している。義母は必ず激し、嫁である私を攻撃する鉄砲玉になってくれる。義母のを使って私を精神に追い詰めれば、夫は自らのを切汚すことなく、私をこのから追いすことができるのだ。
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、卓に額を擦り付けて泣き崩れていたあの男と、同物とは到底えなかった。
あるいは、あの涙すらも、すべて計算され尽くした保の演だったのかもしれない。
「私は、莉子を切に育てています」
私は静かに、だがはっきりと答えた。
「先だけなら何とでも言えるわよ!」
義母は卓の子に座り、持参した総菜の袋を放りした。そして、部の隅に置かれていた洗濯カゴに目を留めた。カゴの番には、今朝脱いだばかりの莉子のい靴が乗っていた。
「ほら見なさいよ! 莉子ちゃんの靴、かかとのが擦り切れてくなってるじゃないの! こういう細かいところにるのよ、あんたのたさが!」
「次のパートの料がたら、しいものを買い揃えます」
「秀のおで今すぐ買いなさいよ! あんたの雀の涙みたいなパート代をケチケチし惜しみして、みっともない!」
莉子の分は私のパート代からせと言い放ったのは夫であり、秀ので買えと喚き散らすのは義母だった。
の求は正反対に見えて、き着く先は常に同じ所だった。
――すべては、嫁であるゆきが悪い。
義母は持ってきたビニール袋を私の方へ突きした。
「これ、秀の好物の煮豆よ。秀のにだけしなさいね。最、あの子ろくなものをべさせてもらってないって嘆いてたから!」
夫は週の半分以、で夕をにしていない。ろくなものをべていないのだとしたら、それは私の台所ので、誰かとをねているからにならなかった。
義母が嵐のようにってった、私は居の子の背もたれに掛けられていた、夫のスーツの着をにとった。
クリーニングにす予定の着だった。
ポケットのを確認するのは、結婚してからの習慣だった。夫は領収やガムの包みを無頓着にポケットに突っ込む悪癖があったからだ。
内ポケットに指を滑り込ませた瞬、枚のいの触があった。
引きしてみると、それは宿泊施設の領収だった。
付は。数の欄には「2名」。部タイプ「デラックスツイン」。額は「24,000円」。
。それは夫が「会社の倉庫の棚卸しだ」と言って、朝くからでかけてった曜だった。
私はその領収を卓のに静かに置き、自分のスマートフォンを取りした。
付の印字と、「2名」という記載、そして施設名が鮮に写るように、ピントをわせて枚の写真を撮した。
撮を終えると、領収の折り目を元の通りにえ、夫の着の内ポケットの奥くへと正確に戻した。
着をクリーニングにすのはやめにした。今クリーニングにしてしまえば、この決定な物証が夫の元かられてしまう。
夫が気づかずに持ち歩いてくれている方が、証拠隠滅を防ぐためには都が良かった。