"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第17話
ですから、ご主との話しいのに私が同席することはできません。もしご主が法な代理を必とされるなら、ご自で別の弁護士を探していただくことになります。……そして、莉子ちゃんに婚も会えるかどうかという面会交流の問題ですが、これは法に定められた絶対な権利ではありません。親権者であるご主が面会を頑なに拒絶した、法に面会を制することは極めて困難です」
私の臓が、ドクンと嫌な音をてた。
「実際には、同居されるご族――特にお義母様がどうくかが極めてきな響を持ちます。ですから、ゆきさんが最終に誰を方につけるかが、この問題の命運を分けることになります」
「……夫の母を、方にします」
私のから、迷いのない言葉が自然と零れ落ちていた。
向井弁護士は「どうやって方にするのか」とは聞いてこなかった。
「それは、ゆきさんが決めることです」
向井弁護士は計を瞥し、席をった。
「今はここまでにしましょう。次は、証拠と記録がもうし集まった段階で」
事務所をると、駅のロータリーはを急ぐ通勤客で混雑していた。
自転の鍵を解錠しながら、私は向井弁護士の言葉をので反芻していた。
『連れてる法な根拠はありません。親権も監護権も、すべてご主にあります』
夫は、の夜との、「面倒だ」
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「なんて関係ない」という勝な言葉で、私と莉子のに巨な法な壁を築きげたのだ。
壁の向こう側に莉子がいて、私は壁のこちら側で、分の弁当を作り続けてきた。
それでも、私は闘う。
ペダルを踏み込みながら、私はので固く決を固めていた。
のように、に任せて泣き叫んで終わらせるような真似は絶対にしない。
すべての客観な証拠を完璧に揃え、逃げを完全に塞いだで突きつける。
そして、その真実を突きつけるべき相は、夫ではない。義母だ。
義母は、莉子のことを「よその子」「嫁の親戚の子」だと信じ込まされてきてきた。そう信じ込ませたのは、ならぬ息子の秀だ。
その巨な嘘のに、義母の酷な差別や侮蔑の言葉が積みねられてきたのだ。
もし、その台となっている嘘を完全に引き剥がしたなら、義母がこれまで吐きしてきた毒ある言葉は、すべて義母自の胸元へと突き刺さるブーメランとなる。
それこそが、向井弁護士との対話のから私が導きした、莉子と自分自を守るための唯の活だった。
自宅に戻ると、すでにを回っていた。夫はまだ帰宅していなかった。
玄関の引き戸をけると、莉子がりで迎えてくれた。
「お母さん、おかえりなさい! 遅かったね」
「ごめんね、職の杉本さんとし買い物をしていたの」
私は莉子に、平然とした顔で嘘をついた。
「そうなんだ」
莉子は無邪気に笑って台所へと戻っていった。
その夜、私は台所で夕飯の片付けを終えた、計簿の余に鉛でだけき加えた。
『、莉子に嘘をつ吐いた』
向井弁護士に指示された記録は夫の言を残すためのものだったが、私は自分自がねていく嘘の数も、正確に記録しておくことに決めた。
これから先、夫に対しては幾もの嘘や欺瞞をねることになるだろう。けれど、莉子に対して吐く嘘だけは、両の指で数えられる最限の数で終わらせたかったのだ。
、曜。
夕方の半、玄関の呼び鈴が乱暴に鳴り響いた。
いつもの曜の、義母の巡回のだった。私が買いしから戻って、まだ分も経っていない頃だった。
だが、玄関に現れた義母の表は、いつもとらかに違っていた。
「ゆきさん、あんた、莉子ちゃんを虐待まがいに遇してるんですってねえ!」
靴も脱がず、がり框に仁王ちした義母が、いきなり切り声を張りげた。
私はに持っていたエプロンをきつく握りしめ、眉をひそめた。
「……どなたが、そんな鱈目を仰ったのですか?」
「秀よ! この、話でけない声で言ってたわよ! 『ゆきが莉子をちっともがらない。
のがギクシャクして息が詰まる』ってね!」