"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第12話
翌の曜の夜、帰宅して夕を平らげた夫が、湯呑みのお茶をすすりながら、触れもなく言い放った。
「から、に入れる活費を万円減らすぞ」
私は湯呑みを置くを止め、夫の顔を見つめた。
「どうしてですか?」
「会社の業績が悪化して、料のベースががったんだよ。今までの万は無理だ。万にする」
私は湯呑みの縁に指先をかけたまま、静かに切り返した。
「本当に会社の業績が悪くて与ががったのなら、今の与細を見せてもらえますか?」
夫の片眉がピクリとねがった。
「細を見てどうするんだよ! 俺ががったって言ってるんだから、がったんだよ!」
夫は湯呑みを握りしめたまま、頑なに私の目を見ようとはしなかった。
「それからな、莉子の分にかかるは、全部おのパート代からせよ。からそうだっただろ。元々はおの親戚の子なんだからな」
莉子の活費や教育費は、からすでに私のパート代から全額していた。夫はその事実を百も承している。っていながら、さも自分がこれまで面倒を見てやってきたかのように言い放ち、再び「おの親戚」という嘘の板を盾にして私を突き放したのだ。
私は静かに頷いた。
「……分かりました」
夫は湯呑みを置き、怪訝そうに私の顔を盗み見た。
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激しく取り乱してってかかってくると予していたのだろう。あまりにもあっさりと私が引きがったことに、夫は瞬、拍子抜けしたような表を浮かべた。だが、すぐに尊な態度を取り戻してを鳴らした。
「嫌なら、いつでもてっていいんだぞ。……まあ、おの稼ぎでてったところで、子供を抱えてっていけるわけがないだろうけどな」
夫はそう言って子からちがった。そして、台所をてこうとした瞬、いしたように振り返って吐き捨てた。
「パートのシフト、もう増やせよ。曜もフルのシフトで入れば、に万くらいすぐに稼げるだろ」
曜は、莉子の唱団の送迎があるであり、義母がにやってくるだった。夫はそのことをっている。っていながら、平然と私に曜勤を求したのだ。
もし私が曜にを空ければ、昼過ぎに唱団から帰ってくる莉子を迎えるがいなくなる。義母が莉子の昼を用したり、温かく迎え入れたりするはずがないことなど、この夫はこれまでので度として像したことすらないのだろう。
「……考えておきます」
私はそう答えた。もちろん、受けるつもりなど微もなかった。
っていけない、と夫は言った。
万円減らされた万円の活費と、私の万円のパート代をわせた万円で、族の暮らしを回す。
それを「えている」と信じ込んでいるのは夫の方だった。そして、私が子供を連れててけば、到底活が成りたないとい込んでいる。
どちらの現実な計算も、この男はこれまでの、度として自分ので卓を叩いたことがないのだ。
その夜、私は夜の台所で計簿をいた。
万円の活費でさえ、決して余裕があったわけではない。の学費の積みてと、ねがる費、育ち盛りの費で、万円は毎綺麗に消えていた。の部活の征費も、公平のバッシュ代も、莉子の習い事も、すべて私のパート代から捻していた。そこからさらに万円を減らされれば、子供たちの将来のための学費積を解約するしかはない。
万円。
夫は、がから削り取ったその万円を、体どこへ運ぼうとしているのか。
会社の料ががったという夫の言葉を、私は最初からミリも信じていなかった。
信じなかった決定な理由は、あの曜の朝、ゴミ箱の底に丸められていた万円の細票にあった。
夫の遣いは毎万円。それは私が袋に入れて渡している。それとは別に、毎個の座から万円が引きされている。そして今、活費をきっかり万円減額しようとしている。
そのりない穴埋めを、私の活費を削ることで補填しようとしているのだ。