みかん小説
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"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第4話

義母は、そうした息子の分かりやすい変化にはまったく気づかないようだった。義母の節穴のような目が捉えるのは、嫁である私が作る弁当のおかずの品数と、莉子の着ているの綻びのことだけだった。

「秀は本当に変ねえ。曜まで会社のためにをにして働いて。……それに比べてあんたは、たかがのパートで気楽でいいわよねえ」

「……はい」

私はただく相槌を打つ。

パートのあるは朝に起きて族の朝とつの弁当を作り、からまでちっぱなしでい油のにち、帰宅すれば休むもなく夕飯の買い物と調理、のような洗濯物に追われる。それが気楽なものかどうかなど、義母に説したところで何のもない。何を言ってもこののには届かないことを、私はのあの来事を通して骨の髄までいらされていたからだ。

莉子が「ゆきの親戚の子」などという説が真っ赤な嘘であることをっているのは、この広い世界ので、私と夫のだけだった。

常の違は、初の訪れとともにつ、またつと積みなっていった。

の終わりの曜、私はに度の型スーパーへの買いしにかけようとしていた。私の乗っている軽自では、キロの米袋や調料の箱を度に積みきれないため、そのだけは夫の普通乗用を借りることにしていた。

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夫は夜も夜遅くに帰宅し、昼くになっても寝でいびきをかいて眠っていた。鍵だけを寝からそっと持ちし、私は運転席のドアをけて腰をろした。

シートが、異様なほどろへとスライドしていた。

私の背丈では、いくら爪先を伸ばしてもアクセルペダルにが届かない。夫は私よりも背がいので、夫が運転したはいつもシートをに戻す必があった。

だが、そのは運転席だけでなく、助席のシートもくろへげられていたのだ。

助席に、誰かを乗せた形跡だった。私よりものい、背のい誰か。

か公平を乗せて部活の送迎でもしたのだろうか。そう自分に言い聞かせながら、私はレバーを引いてシートの位置を元に戻した。の息子に尋ねればすぐに分かることだった。だが、私はあえて聞かなかった。

その週の曜の夜、を回って帰宅した夫のワイシャツの襟元から、再びあの匂いが漂ってきた。

洗濯に放り込む直、私は脱所のかりのでそのシャツを持ちげた。

がの洗剤の匂いではない。甘く、どこか濃な、の女性がつけるようなの残り。私がこれまでので度もにつけたことのないりだった。

私は襟の折り返しをめくり、匂いの付着している箇所を指先でなぞった。

それから何も言わず、そのまま洗濯の底へと落とし、フタを閉めた。

真実を確かめることと、相を問い詰めることは全くの別物だ。私はただ徹に事実を確認することだけに徹し、声にはさなかった。

遅い夕をとっていた夫の箸が、ピタリと止まった。テーブルので、伏せられていた夫のスマートフォンが刻みに振したのだ。

夫は画面を素く覗き込むと、持っていた茶碗を静かに置き、ちがってベランダへとた。サッシの網戸をピシャリと閉め、背を丸めて声で何かを話し始めた。

分ほどして部に戻ってきた夫は、何事もなかったかのように卓の子に座り直し、めかけた噌汁をすすった。

「誰からだったの?」

呂がりで首にタオルを巻いた次男の公平が、居の入りから何気なく尋ねた。

「会社だ」

夫は線をげることなく、くそう切り捨てた。

この、このが会社の業務連絡をわざわざ夜のベランダにてコソコソと受ける姿など、ただの度も見たことがなかった。私はその自然さを指摘することなく、黙って湯呑みにお茶を注いだ。

公平のろから、ジャージ姿の男のが顔をした。

「父さん、サッカーのスパイクの靴底、パックリ剥がれてきちゃったんだけど。しいの買ってもいい?」

夫はスマートフォンから顔をげることすらなく、嫌そうにを鳴らした。

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