"血染めの写真と三文字のSOS" 第16話
「私の血じゃなくて、完全にじいちゃんの血だな」
私が笑うと、縁側で父が歳になった太に構図の講義をしている声が聞こえてきた。
「太、いいか。分割法というのはな、画面を縦横に等分して、その交点に主役を配置するんだ」
「ってるよ、じいちゃん! 主役をあえて真んからすことで、写真にストーリーがまれるんだろ?」
「おおっ、よく勉しているな! よし、おにはこの報代に使っていた望レンズを譲ってやろう!」
「マジで!? やったあ!」
賑やかな笑い声が、初の柔らかなに乗って庭いっぱいに広がっていく。
すべての撮を終えた夕暮れ、私は、壁に掲げられたあの額縁のにっていた。
背からパタパタと音がづき、美桜が私の隣に並んで額縁を見げた。
「お父さん、何見てるの?」
「この写真を見てたんだよ」
「あ、私が作った写真だ」
美桜はもう、この写真を見ても切怯えることはない。それどころか、誇らしげに元を綻ばせている。
「この写真がなかったら、私、お父さんや太くんに会えなかったんだよね」
「そうだな。この写真が、俺たちを引きわせてくれたんだ」
「じゃあ、これは私たちの『始まりの写真』だね」
「ああ。最に切な、宝物の写真だ」
美桜が満面の笑みで私を見げた。
「美桜」
「なあに?」
「あの、勇気をしてくれて……本当にありがとうな」
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「うん!」
美桜はし照れくさそうに笑い、私のをさな指でぎゅっと握り返してくれた。
その、リビングの引き戸がき、結の温かな声が響いた。
「とも、何してるの? 夕ご飯ができたわよ!」
「今くよ! お母さん、今のご飯は何?」
美桜が弾んだ声で駆けしていく。
「美桜と太の好物の、特製煮込みハンバーグよ!」
「やったあ!」
パタパタと駆けていく娘の背を見送りながら、私はもう度だけ、額縁ののさな笑顔に線を向けた。
あの、コンビニので見つけた枚の血染めの写真。
あの絶望の淵から紡がれた命の叫びが、私のを根底から変え、かけがえのない族を連れてきてくれたのだ。
写真は、を救うことができる。
過の痛みを未来の希望へと変え、切な々の笑顔を永に刻み込むことができる。
「さて、俺もくか」
私は額縁に向かってさく頷くと、する族の笑い声が満ちる、溢れるリビングへと歩みをめた。
これからも、私たちはたくさんの写真を撮り続けていくだろう。
ファインダーを覗くたびに溢れす、かけがえのない幸福の瞬を、つひとつ、切に形に残しながら。