"夜勤の救急外来に運ばれた夫と義姉" 第22話
嵐さんもその1だ。
「み咲さん、オープンのお祝い、たくさん届いてますよ!」
エプロン姿の嵐さんが、嬉しそうに報告してくれる。
事業所の玄関には、域のクリニックや、かつてお世話になった患者さんたちから贈られた胡蝶蘭や観葉植物が所狭しと並んでいた。
「ありがとう、嵐さん。みんな本当にありがたいね」
私たちは域に根ざし、病気や障害で自宅療養を余儀なくされている方々の元へ毎訪問している。
薬の管理や体のケアはもちろん、にはただそばにいて話を聞くだけのこともある。
病院というきな組織ではできなかった、11に寄り添った温かい護。
それこそが、私が本当にやりたかったことなのだと、今の底から実していた。
「しかし、本当に良かったのか?あの2を、あのにませたままで……」
リビングでコーヒーをみながら、父がし配そうに言った。
拓也と麗子は、今もこのの2階のを借りする形でみ続けている。
もちろん私に毎、相通りの賃を支払いながら。
2ともまともな職には就けず、雇いのアルバイトでその暮らしの活を送っていると聞く。
かつてのプライドは見るもなく、私と顔をわせるたびにビクビクと怯え、目を伏せるだけだ。
彼らにとって、自分たちが見してきた元嫁、元義妹がオーナーとなり。
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そのの1階でききと、くのから謝されながら仕事をしている姿を毎見せつけられることは、ぬよりも辛い罰なのかもしれない。
私は穏やかに微笑んで答えた。
「いいのよ、お父さん。もうどうでもいいの、あのたちのことなんて」
私のから、彼らへの憎しみはもう消えっていた。
いや、正確に言えば、憎む価値もないほど、私の興の対象かられてしまったのだ。
今の私には、もっと切にしたい々を、守りたい未来がある。
その、ステーションの話が鳴った。
「はい。訪問護ステーションひまわり、です」
『あ……み咲。鈴だけど、覚えてるかな?』
話の向こうから聞こえてきたのは、懐かしい声だった。
「鈴先!ご無汰しています」
鈴先はあの、学病院の研究に移り、今は穏やかな々を送っているという。
『君がステーションをちげたと聞いてね。お祝いを言いたくて』
「ありがとうございます。先もお元気そうで何よりです」
い会話の、話を切ろうとしただった。
『み咲さん』
鈴先がし改まった声で言った。
『あのは、すまなかった。そして、ありがとう』
その言葉のを、私は黙って受け止めた。
彼もまた、あの事件を通して何かから解き放たれ、しいを見つけたのかもしれない。
話を切った、私は窓のに目をやった。
の柔らかな差しが、庭のを優しく照らしている。
かつて私のは、暗くたい箱のに閉じ込められていた。
だが私は、自らのでその箱を壊し、のへと歩きした。
もちろん、私がしたことが全て正しかったとはわない。
くのを傷つけ、利用したことも事実だ。
その罪は、私が背負っていくのだろう。
だが、悔はしていない。
あの獄のような々があったからこそ、今の私がある。
の痛みが分かる、本当のでいになれたのだから。
「み咲さん、そろそろ午の訪問のですよ!」
嵐さんのるい声が響く。
「うん、今く」
私はを羽織り、訪問バッグをに取った。
玄関のドアをけると、温かいのが私の頬を優しく撫でた。
しい朝。
誰のためでもない、私自のためのしいの始まり。
私は空を見げ、く、く息を吸い込んだ。
その胸に満ちるのは、希望と、そして穏やかな幸福。
さあ、こう。私を待ってくれているたちの元へ。
私は確かな歩を、未来へと踏みした。