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"従妹に貸した部屋が、半年で40回又貸しされていた" 第10話

しい鍵と自分で選んだ境界線

翌朝、私は勤に管理会社へ話をした。

昨、族で話しったことを全て説する必はない。

「所者として、鍵を第者が正に使った能性があるため、シリンダーごと交換したい」と伝えた。

担当者は本確認の、交換できると費用を案内してくれた。

「最で3に作業できます」と言われ、私はそのでお願いした。

古い鍵の鍵が何本世に回っているかわからない以、先延ばしにする理由はない。

そのの昼休みには、に相談した政の窓へも連絡した。

私は、部を第者へ繰り返し使わせ、対価を受け取っていた記録があることを説した。

担当者は具体な利用状況や期を聞いたで、「必な事実確認はこちらでう」と言った。

私は処分がどうなるかを尋ねなかった。

何かをく罰してほしいわけではない。

自分のらないところで続いていた正な利用を、正式に止めるために必な報をしたかっただけだ。

仕事が終わると、私は自宅でさやから受け取った記録を理した。

利用。入退の刻。清掃の無。受け取った額。

所だけを使わせたについては、わかっている範囲のメモ。

私は自分が確認できた内容だけを、1枚のにまとめた。

わからないところには「」

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といた。

さやのを推測する言葉も入れなかった。

その夜、私はさやへ連絡した。

『鍵は3に交換するね』

しばらくして返事が来た。

『わかった』

私は続けて、今この部へ入る必があるは、必ず私へ事に連絡することを伝えた。

さやからは『もう入るつもりはない』と返ってきた。

私はその言葉だけを信じるのではなく、実際に物理な鍵を変えることで区切りをつけようとった。

次に確認したのは、おのことだった。

私はさやに、受け取った全額を度に返してほしいとは言わなかった。

何をどこまで返すべきかも、の勢いで決めるつもりはない。

ただ、無断利用によって私にじた鍵交換の費用と、今回各所へ確認するためにかかった交通費などの実費については、負担を話しう必があった。

さやにも、自分が受け取った額を理して持ってくるよう伝えた。

2、さやは再び私のへ来た。

今度は母を呼ばなかった。

族の気持ちを確かめる段階ではなく、具体な始末を決める事務なだったからだ。

さやはさなノートと、通帳の写しを持ってきた。

私は通帳そのものを預からなかった。

必なのは、私の部に関係する入記録だけだ。

「全部は残ってない」

さやは最初に言った。

「教材とかに使ったから」

私は頷いた。

「使ったかどうかを責めたいんじゃないよ。いくら受け取って、これから何を負担できるかを確認したいの」

さやはノートをいた。

現で受け取った分には、記憶が曖昧なところもあった。

私はわからない額を無理に埋めさせなかった。

確認できる分だけを計した。

「これを全部すぐ返せとは言わない」

私は言った。

「でも、鍵交換と今回の確認で私にた費用は、しずつでも負担してほしい」

さやは黙ってから、頷いた。

「返す」

私はを1枚した。

「々いくらなら無理なく返せるか」を、さや自にいてもらった。

私は試験をやめろとも、活費を極限まで削れとも言わなかった。

払えない約束を作ってもがないからだ。

さやは毎の現実な額をき、最初の支払いは試験が終わった翌からにしたいと申した。

私はその条件を受け入れた。

返済は末まで。

難しいは黙らずに先に連絡すること。

それだけを確認した。

私はを2部作り、双方が同じ内容を持つことにした。

げさな契約にするためではない。

また「言った」「聞いていない」で曖昧にしないためだ。

3、私はマンションで鍵交換の事にち会った。

作業員が古いシリンダーをし、しいものへ取り替えた。

作業が終わると、しい鍵を受け取り、本数をそので確認した。

私は1本ずつ写真に残し、保管所も決めた。

以のように、誰が何本持っているのかわからない状態には戻したくなかった。

交換、私は玄関のへた。

キーボックスがついていたネジ穴は、まだ壁に残っている。

管理会社には、勝にしい箱をつけないことも確認した。

必な壁の補修については、相談することになった。

私はその跡を消すことを急がなかった。

まず必だったのは、古い鍵ではもう誰も入れない状態を作ることだった。

その週の終わりには、管理会社へ第者の利用が終していることを正式に伝えた。

郵便受けのネームプレートの表示も確認した。

らない名義の郵便物については、警察へ相談したの指示に従い、勝に処分せず元での保管を続けた。

たにに覚えのない郵便が届いたは、付を記録することにした。

政にも、求められた範囲の資料を提した。

その先の判断は、担当する専のたちに任せた。

私はさやの将来を壊したいわけではなかった。

だからと言って、族だから何もなかったことにするつもりもなかった。

私がするべきことは、わかっている事実をし、自分の部の管理を元の状態へ戻すことだ。

その結果を、で軽くしたりくしたりしないと決めた。

母からは週末に話があった。

「鍵、変えたの?」

「うん」

私は答えた。

「これでなくとも、の鍵では入れないよ」

母はし黙ってから言った。

「それがいいわ」

以なら、そこに「さやちゃんも反省してるんだから」と続いたかもしれない。

けれど今回は、母は何もさなかった。

私はその変化をありがたく受け取った。

夜、私はしい鍵を机のに置いた。

古い鍵は管理会社の案内に従って、使えない状態で保管した。

2本を並べると、見た目の違いはわずかだった。

けれど私にとって、そのは全く違う。

古い鍵には、誰が触れたのかわからない半の記憶が残っていた。

しい鍵は、誰に渡すのかを私自が決められる鍵だった。

私はさやとの返済のをファイルへしまった。

警察への相談記録も、政へ伝えた内容のコピーも、同じ所へまとめた。

これで、やるべきことは1つずつ形になった。

さやはもう部へ自由に入れない。

らないへ鍵を渡すこともできない。

所を使わせることも、私に黙って続けることはできない。

私はようやく、あの抱いた違をに変えられた気がした。

貸したのは部という空だけだ。

私の管理の判断まで渡したわけではない。

その境界線を、私はしい鍵と緒に自分のへ戻した。

それから、1が過ぎた。

あのマンションはそのも、しばらく私の元に残した。

すぐに売ることも、誰かに貸すこともしなかった。

急いで次を決める気になれなかったからだ。

まずは、自分が落ち着いてあの部を見られるようになることを優先した。

以なら、空のままにしていることを無駄だとじたかもしれない。

けれど今は、急いで誰かに渡さないことも、自分で選んだ管理の1つだとえた。

産会社から届いた案内も、そので決めずにファイルへしまった。

決める期まで、自分で決めてよかったのだ。

鍵を交換してからは、に1度だけ様子を見にった。

郵便受けを確認し、内の換気をして、回りをしかした。

らない名義の郵便物が届いたは、決めた通りに記録した。

以のように、玄関をけるたびに構えることはなくなった。

しい鍵を差し込む触にも、ようやく慣れた。

母も、あの来事を必以に話さなくなった。

以のように「さやちゃんはがかからない」と言うこともない。

かと言って、さやの悪を繰り返すこともしなかった。

たまに試験のことを聞かれても、私はっている範囲だけ答えた。

族だから何でも共しなければならないとは、もうわなくなっていた。

さやとは、必な連絡だけが続いていた。

返済については、決めたからしずつ私の座に振り込まれていた。

遅れそうなには、先にLINEで連絡が来た。

私はその度に入された額だけを確認した。

謝罪の言葉を求めることもなかった。

何度も謝らせたところで、失った信用がく戻るわけではないとわかっていたからだ。

警察や政から求められた確認には、その都度わかる範囲で答えた。

私は結果を急かさなかった。

自分がらないことまでろうとするのもやめた。

誰かの処分を望むために相談したのではない。

自分の部と所についてっている事実をすことが、私の役目だとっていた。

あるの曜。

私はマンションで窓をけていた。

がしたく、カーテンがゆっくり揺れていた。

台所には、以置いたままだった洗剤がある。

リビングにはさなテーブルと子がある。

特別なものは何もない。

それでも私は、その普通の景をより切にじていた。

昼、玄関の呼び鈴が鳴った。

私は反射に扉を見る癖が残っていた。

インターホンの画面に映っていたのは、さやだった。

私はし迷ってから、玄関の扉をけた。

「どうしたの?」

さやは両でさな茶封筒を持っていた。

髪は以よりくなっていた。

「これ、持ってきた」

私は封筒を見た。

「何?」

「今の返済じゃないよ」

さやはそう言ってから言い直した。

「今分とは別に、しだけ」

私はそので受け取らなかった。

「無理してない?」

「してない」

さやは首を振った。

「バイトを増やした分」

私はし考えてから、封筒を受け取った。

「わかった」

それだけ言った。

さやは玄関のへ勝に入ろうとはしなかった。

以なら、親族のという覚でそのまま靴を脱いでいたかもしれない。

今は、扉のでったままだ。

その距を見て、私は初めて、さやも境界線を覚え始めているのかもしれないとった。

もちろん、それだけで全部を許せるわけではない。

「部、どうするの?」

さやが聞いた。

「まだ決めてない」

私は答えた。

「売るかもしれないし、貸すかもしれない」

「そっか」

さやは、私のにあるしい鍵に目を向けた。

玄関脇にあったネジ穴は、管理会社と相談して補修してある。

あの角いの違いも、今はほとんどわからない。

けれど、私はどこに跡があったか覚えている。

さやはしばらく黙ってから言った。

「もう、鍵貸してって言わない」

私はわずさやの顔を見た。

冗談を言っているようには見えなかった。

私はすぐに返事をせず、玄関の内側にかけてある鍵を見た。

あの半のなら、私はきっと笑って「わかった」と言っただろう。

今は、それだけではりないとった。

「うん」

私は答えた。それから、言葉をした。

「次は、困ったに鍵じゃなくて話して」

さやが顔をげた。

目元がし赤くなった。

「……話しても、いいの?」

「困ってることを聞くくらいならね」

私は言った。

「助けられるかどうかは、そのに緒に考える」

さやは唇を結び、何度か頷いた。

私はそれ以約束しなかった。

族だから何でもしてあげる。そんな関係へ戻るつもりはない。

けれど、度裏切られたからもう度と話を聞かないとも決めなかった。

距を決めるのは、りでも罪悪でもない。

これからは自分で決めればいい。

そうえるようになったことが、私には番きな変化だった。

さやを見送った、私はリビングへ戻った。

テーブルのに、受け取ったさな封筒を置いた。

すぐにはけず、窓を閉めてから子に座った。

封筒のの額より、さやが自分からここまで持ってきたことの方が、私にはくじられた。

それでも、今1で信用が元通りになるわけではない。

私はその事実も、無理に美しい話へ変えたくなかった。

帰る、私は玄関の鍵を閉めた。

度回して、扉を軽く引いた。

きちんと閉まっている。

以なら、それだけの作にをじることはなかった。

今は違う。

誰を部へ入れるのか。

誰に所を使わせるのか。

誰に助けを求められた、どこまで応えるのか。

その1つずつを自分で決められることが、当たりではないとった。

あの部は、返してもらった、本当に綺麗だった。

も壁も具も、ほとんど傷ついていなかった。

それでも、私が取り戻す必があったのは、でも壁でもない。

自分の暮らしの入りを、誰にけるのかを決める権利だった。

鍵を渡すことと、の入りまで渡すことは同じではない。

私はしい鍵を鞄へしまった。

そして、玄関をれるにもう度だけ扉を見た。

今度は、誰かを締めすための扉には見えなかった。

必なには、自分のでけられる扉だった。

私はそのことを確かめるように、静かに廊を歩きした。

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