"妹のドレスを二十センチ切った" 第21話
……ごめんなさい」
「お姉ちゃん……」
「私はあの、あいつらに復讐したかっただけだった。美玖の傷を勝に暴いて、美玖の結婚式を壊して……私がやったことは、美玖の選択肢を暴力に奪った、ただの勝だった。本当に、取り返しのつかないことをしたとってる」
私の声は、さく震えていた。 あの以来、美玖がどれだけを向いて歩んでいても、私の胸の奥には、夜に鋏を握りしめていた自分への、消えない罪悪が刺さったままだった。
数秒の沈黙の、コト、と美玖がカップを置く音がした。
「顔、あげてよ」
顔をげると、美玖はし困ったように眉をげ、そして、くすくすと笑っていた。
「あのね、お姉ちゃん」 美玖は頬杖をつき、テラスの向こうの空を見げた。
「私、あの夜、お姉ちゃんの顔を殴ってやりたかった。ドレスを切られた瞬は、本当にお姉ちゃんを呪ってやろうとったよ」
「……うん」
「でもね、もしあの夜、お姉ちゃんがドレスを切ってくれなかったら……私は今、どうなってたとう?」
美玖の瞳が、私を静かに見つめた。
「私はきっと、あのい布のにを押し込んで、笑いを浮かべて、健さんの隣に座ってた。そして、世田のあので、『傷物のくせに拾ってもらった嫁』として、お義母さんの顔を伺いながら、んだようにきてたとう」
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美玖は自分ののケロイドを、スカートのからではなく、直接、指先でそっと撫でた。
「お姉ちゃんが切ったのはさ、ドレスじゃなくて、私が自分にかけてた首輪だったんだよ」
美玖の目から、ぽろりと粒の涙が零れた。 だが、その涙はすぐに、柔らかな指先で拭いられた。
「もちろん、勝にやったのは最悪だったし、絶対に許さないけどね。、お姉ちゃんにはご飯奢らせるし、都よく使わせてもらうから」
美玖が茶目っ気たっぷりに笑う。 その笑顔につられて、私の目からも、張り詰めていた涙が滲みた。
「……いくらでも奢るよ」
「言ったね? じゃあ、この、あっちのケーキさんで番いやつ買って」
「分かった」
の柔らかなが吹き抜け、テーブルののペーパーナプキンを微かに揺らした。
美玖のの傷痕は、消えることはない。 これからも、誰かの好奇の目に晒されるもあるだろうし、痛むもあるのかもしれない。 だが、その傷を抱えたまま、どこへき、誰と会い、どんなを着るかを決めるのは、の誰でもない、美玖自だ。
私はもう、妹のにってを遮ることはしない。 ただ、隣を並んで歩けばいいのだと、ようやく分かった。
「お姉ちゃん、こ!」
美玖がちがり、トレンチコートを腕に抱えた。 膝丈のスカートが、に軽やかに揺れる。
理のバージンロードを堂々と歩き切ったあのが、今、づき始めたイチョウの絨毯のを、確かな取りで歩歩、踏みしめていた。