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"手切れ金百万、消えた一億三千万" 第4話

「法務局の登記簿も確認済みです。航平氏が裏でめようとしていた産担保設定の申請は、所権の帰属が栞さんの個信託財産であるため、払いで却されました」

融資部も、くをげながら元の融資管理ファイルを差しした。

「神崎デザイン事務所に対する信用保証の解除続きも、すべて滞りなく完いたしました。神崎栞様という絶対な信用保証を失った以、当の内規に基づき、残融資千万円の即全額繰りげ返済を求める最終通告を、先ほど航平氏の事務所宛てに送いたしました」

「ありがとうございます、部。迅速なご決断に謝いたします」

私が穏やかな微笑みを浮かべた、まさにその瞬だった。

理のテーブルのに置いていた私のスマートフォンが、まるで狂ったように激しい振を始した。

ディスプレイに点滅する発信者名は「神崎航平」。

私はスピーカーフォンをタップし、静かに通話を接続した。

「……おはようございます、航平さん」

受話器の向こうから突き刺さってきたのは、鼓膜を破らんばかりの絶叫と、号のび交う事務所の阿叫喚だった。

『栞! おい、どういうことだ貴様! 会社のメイン座から億千万円が引き落とされてるぞ! 注の請けへの支払いが全部エラーで弾かれて、今うちのオフィスに印刷所やデザイナーの社連が以鳴り込んできてるんだ!』

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航平の声は酸素がりないかのように乱れ、恐怖で奥歯をガタガタと鳴らす音が鮮に響いてきた。

『おまけにメインバンクから、千万円の括返済通が届いただと!? 何の冗談だ! いますぐを元の座に戻せ! 僕が殺されるぞ!』

私はめたコーヒーカップをソーサーに戻し、指先を優雅に組んだ。

「取り乱す必がどこにあるのかしら、航平さん。あなたが私に隠れて条梨と豪遊するために使い込んでいた資は、すべて私が個として事務所に貸し付けていたおよ。契約通り、代表取締役によるな背任為が認められた点で、即全額返還を受ける権利が私にはあるわ」

『は、背任だと!? 僕がいつそんなことをした!』

「昨からの使途、計千百万円。すべて条梨名義のペーパーカンパニーへの架空業務委託費として送されていた記録を、私は昨夜、国税局査察部とのコンプライアンス委員会に送済みよ」

受話器の向こうで、ヒッというい鳴ががった。

それは航平のものではなく、隣で聞きをてていたであろう条梨の甲い声だった。

『う、嘘でしょ!? 航平さん、あのはあなたが自由に使える役員報酬だって言ったじゃないの!』

『黙ってろ梨! ……栞、お、本気で僕を破滅させる気か!? 連れ添った夫婦のはないのかよ!』

「夫婦の?」

私の声音は、の氷のようにたく研ぎ澄まされていた。

「昨夜、鎌倉の料亭で、私を『子供も産めない価値のない女』と切り捨てたのは誰だったかしら? 百万円の切れで放りそうとしたのは誰? あなたが踏みにじったのは、私のだけじゃない。法と、ビジネスの信義よ」

『待て、栞! 頼む、話を聞いてくれ! 世田のを売却すれば、なんとか返済の目処は……!』

「世田のには、先ほど裁判所の執官が到着したはずよ」

私は壁の計を見つめながら、静かに告げた。

「あのも建物も、最初から私の単独所信託財産よ。あなたたち神崎の財産など、最初から坪たりともしないわ」

通話を方に切断すると、会議には再び清らかな静寂が戻った。

佐々弁護士がちがり、トレンチコートを羽織りながら敵な笑みを浮かべた。

「さて、栞さん。現の世田本宅へ向かいましょうか。見事な幕引きを見届けるです」

黒塗りのハイヤーが世田の宅へと到着した、邸宅のにはパトカー台と、京裁の公用が横付けされていた。

エントランスのには、級ブランドのロゴが入ったスーツケースや段ボール箱が無残に放りされ、隣の民たちが巻きにち止まってヒソヒソと囁きっている。

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