"離婚半年後、元夫が15年前の弁当箱を抱えて訪ねてきた" 第4話
でも、もし美紀さんのに『過から逃げるため』とか『誰かに守ってもらうため』という気持ちがしでもあるなら、籍を入れるのはもうし待とう」
臓が、かすかに痛んだ。
見透かされているような気がしたからだ。
「私はね、美紀さんに私の世話を焼いてほしいわけじゃないんだ。を伝わせたいわけでも、政婦がほしいわけでもない。美紀さんが美紀さんのでって、自分のを楽しむ隣に、私を置いてほしいだけなんだよ」
誠さんの指が、テーブルのにある私のえた指先にそっと触れる。
「逃げ所として私を選ぶのはやめてほしい。君が、本当に君自の幸せのために、私ときたいとってくれるまで、何度でも待つよ」
喉の奥が、かっとくなった。
、私が修に叫びたかったことのすべてが、このの言葉のにあった。
私は誰かの付属品ではなく、の自したとしてされたかったのだ。
「……はい」
絞りすような私の返事に、誠さんは柔らかく目を細めた。
「よし。じゃあ、まずはめないうちに粕汁をべよう。美紀さんのレシピ通りに作ったんだけど、し噌がりなかったかもしれない」
で顔を見わせて笑い、お椀をに取った。
平穏で、温かい。
これでいい。私は私ので、しい所へ歩きすのだ。
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そう自分に言い聞かせ、古をにしたのが夜の過ぎだった。
自分のアパートへ戻り、鍵をけて内に入る。
静まり返った畳は、私が自分の料で借り、自分の好きな具だけを置いた、完璧な私のだ。
コートを脱ぎ、スマートフォンの源を入れる。
画面が点灯した瞬、緑のメッセージアプリに、通が件以溜まっているのが目に入った。
送信者は、田修。
最の通をいた瞬、私の背筋に、再びたいが落ちた。
添付されていたのは、写真だった。
コンビニの棚ので撮られた、賞期限の半額シールが貼られたおにぎりと、カップラーメン。
そして、そのに添えられたい文章。
『おの汁の取り方、どうしてもいせないんだ。母さんが今夜、痛むを引きずりながら台所にって、鍋を焦がして泣いたよ。美紀、これが本当に、おの望んだ結末なのか?』
吐き気を覚えるほどの自己憐憫と、湿り気のある脅迫。
画面の向こうから、あの傲で無力な親子が、じっと私を引きずりろそうとを伸ばしている気配がした。
私は画面を伏せ、ベッドので両膝を抱え込んだ。
戦いは、まだ何も終わっていなかった。
スマートフォンを裏返し、机のに伏せた。
通の青いがに消えると、部のには蔵庫のい唸り声だけが残った。
コンビニの半額シールの貼られたおにぎり。
焦げた鍋。
『これが本当に、おの望んだ結末なのか?』
あの男が送ってきた写真と文面が、網膜の裏側にこびりついてれない。
かつての私なら、あの文字を見た瞬に胃を締め付けられ、自分が悪いことをしているかのような罪悪に苛まれていただろう。
「私がたすぎるのではないか」
「私がしていれば、あのたちは飢えずに済んだのではないか」
そうやって自分を責め、夜に台所にって作り置きの総菜をタッパーに詰めるような女だった。
、私はそうやって飼い慣らされてきたのだ。
けれど、いま胸の奥底からせりがってきたのは、同でも自責でもなかった。
底れない淡さだった。
「……気持ち悪い」
声にして呟いた瞬、驚くほど指先の震えが止まった。
歳のいいが、母親とで暮らしていて、飯の炊き方も分からない。
自分で包丁を握ることもせず、所のコンビニで値引きシールを探し、それを写真に撮って元妻に送りつける。
その惨めさを演することで、再び私を呼び戻し、無償の労働力として使おうとしている。
その浅ましさが、れみを通り越してただただ気だった。
私はベッドから起きがり、デスクののノートパソコンをいた。
メッセージアプリの画面をちげ、修から送られてきた写真と脅迫めいた文章を、無言でスクリーンショットに収める。