"十八万円を浮かせたい義母の計算" 第6話
恐る恐るメッセージをく。
『織ちゃん、丈夫?! さっき奥さんから話があってね、「今これからすぐ来て、千円でいいから」ってものすごい剣幕で言われたのよ。もちろん断ったわ。「織さんから事に程表ももらってないし、私たちはもうの末の伝いに入ってます」って言ってやったから。織ちゃん、あんなところで無理しちゃダメよ。何かあったらいつでも連絡してね』
画面を見つめる私の元に、自然と笑みがこぼれた。
義母は、パートのたちが「所の暇な主婦」で、話本かければ千円の値でいつくばってんでやってくると信じ込んでいたのだ。だが由美さんたちは、私が提示した適正な賃(千百円、末当込み)と、確なタイムスケジュールがあったからこそ、毎来てくれていたのだ。
信用はおで買い、誠実さで維持するものだ。それを義母は、たった万円の目先のをケチるために、瞬でドブに捨てた。
自業自得という言葉すらぬるい。
私は由美さんに、『ご配おかけしてすみません。私はもう丈夫です。ご連絡ありがとうございました』とく返信を打った。
めかけたほうじ茶をみ干す。胃の腑に落ちた温かさが、張り詰めていた神経をゆっくりと解きほぐしていく。
さて、これから何をしよう。
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ぶりに、末の予定が真っになった。見たい映画もあった。現監督代によく通っていた、駅のラーメンにもきたい。掃除を自分のペースでやるのもいい。
そんなことを考えながら、パソコンを閉じようとしたそのだった。
スマートフォンの画面が、再び激しく点滅した。
また義母か、あるいは夫か。うんざりしながら画面を伏せようとして――私はを止めた。
ディスプレイに表示されていたのは、これまでのの結婚活で、私の携帯に度も表示されたことのない文字列だった。
【美紀】
卒の男嫁。さっき作業で、義母が私を蹴にするための免罪符として祭りげた、あの義姉だった。
通話ボタンが、緑に点滅している。沈黙した部ので、バイブレーションの音だけが、机を揺らしていた。
画面を滑る指先が、瞬だけ止まった。
ディスプレイに浮かびがる【美紀】の文字。着信の緑のアイコンが、臓の拍のように規則正しく滅している。
の結婚活。お盆と正の挨拶、法事の席で顔をわせることはあっても、携帯番号を直接鳴らされたことなど度もなかった。業務連絡も程調も、すべて義母か夫の聡史を経由していた。
それが今、私のので震えている。
私はく息を吸い込み、え切った親指で通話ボタンをへスワイプした。
に受話器を当てる。
無言のまま、相の方を待った。受話の向こうから、かすかな擦れの音と、張り詰めた呼気が伝わってくる。
「……織さん?」
美紀さんの声だった。く、落ち着いていて、の波をじさせない。京の研究所で政策アナリストとして働いているの彼女の声を、私はテレビの討論番組で度だけにしたことがあった。そのの、無質で正確な響きとまったく同じだった。
「はい、織です」
私はく答えた。声のトーンを切げず、警戒も敵も滲ませないように努める。
「急にお話してごめんなさい。今、しだけお話しできるはあるかしら」
「丈夫です。自宅に戻ったところですから」
「よかった」
美紀さんはく息を吐いた。そして、次に続いた言葉は、私の予を完全に裏切るものだった。
「、怪しなかった?」
喉の奥が、さく詰まった。
「……え?」
「さっき、作業で。きな角ダライをひっくり返したでしょう。縁にを取られたり、ね返ったプラスチックが脛に当たったりしなかったかとって。かなりそうだったから」
作業着の擦れる音も、罵声もび交わなかった。責めてられるのだとばかりっていた。義母を泣かせた、正にを塗った、常識がない――そうやって『男の嫁』としてのから、正論で殴られるのだと構えていた。
それなのに、彼女が最初に確認してきたのは、私の体の無事だった。