"十八万円を浮かせたい義母の計算" 第2話
タダなんだから」
の芯が、スッとたくなっていくのが分かった。
内だけでやる。タダなんだから。
その言葉のを、私の脳は即座に計算した。現監督として以、程管理としを叩き込まれてきた私のが、酷な数値を弾きす。
菜玉。洗い、トリミング、塩、樽詰め、積み。熟練で回して、ようやくの程だ。素が混ざればはくだらない。
内とは誰のことだ。歳の義母は、腰が痛いと言って以から仕事など切しない。残るは誰だ。
音がして、母の戸からもう現れた。夫の聡史だった。
スウェットのにダウンベストを羽織り、眠そうに目をこすっている。にはスマートフォンの画面がっていた。
「……聡史」
私は夫の顔を真正面から見据えた。
「由美さんたちが来ないこと、ってたの?」
聡史はピクリと肩を揺らした。私の線から逃げるように線を斜めに落とし、のを指で掻く。やましいことがあるの、昔からの癖だった。
「いや……まあ、母さんからチラッとは聞いてたけどさ」
「いつ聞いたの」
「先週……かな」
喉の奥が、ギリギリと音をてて引き絞られる覚がした。
「先週っていて、どうして私に言も言わなかったの? 私は昨まで、発注伝票の確認も、資材の搬入も、全部が来る提で段取りを組んでいたのよ」
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「だって、言ったら織、るだろ」
聡史は悪びれもせず、むしろ私が面倒な女であるかのようにを尖らせた。
「母さんのなんだしさ。しでも経費浮かせたいって親の気持ちも分かるだろ? 族なんだから、今はみんなで協力して乗り切ろうって話だよ」
「みんなって誰?」
私はえ切ったコンクリートのを歩踏みした。
「お義母さんはつ持てない。あなたはこの期、毎『寒いから腰に来る』って言ってで母に逃げる。結局、誰がこの玉を洗うの?」
「織、おは慣れてるだろ。現監督やってたんだから、段取りさえ良ければでも――」
その、表の砂利を噛むの音が響いた。バンパーの閉まる音、続いて軽やかな音が作業にづいてくる。
勝のサッシが勢いよくいた。
「おはようございます! 遅くなってすみません、がし混んでいて」
入ってきたのは、男の正志さんと、妻の美紀さんだった。は京で暮らしている。毎、末のに帰省してくるのが恒例だった。
美紀さんは仕てのいい質なウールのコートを脱ぎ、作業の隅にあるハンガーに丁寧に掛けた。にはきやすそうなタートルネックのセーターを着ている。ふとに積まれた異常な量の菜に気づき、美紀さんは目を見張った。
「すごい量ですね……。これ、全部今やるんですか?」
「ええ、予約分だけで玉あるんです」
私が答えると、美紀さんはすぐにセーターの袖を肘まで捲りげた。
「わかりました。私、何をすればいいですか? 包丁で切る係なら伝えるといます。エプロン、予備はありますか?」
理性で、無駄のないきだった。美紀さんは京学を卒業、都内のシンクタンクで政策研究の仕事をしている。普段から物腰が柔らかく、にならず、常に筋をてて話すだ。、私がこのに嫁いできたから、彼女はいつもどこか歩引いた所で、礼儀正しい距を保っていた。
その美紀さんがエプロンにを伸ばそうとした瞬だった。
「ダメよ、美紀さん!」
甲い鳴のような声が、作業に響き渡った。
義母がマグカップを流し台に叩きつけるように置き、りで美紀さんのへ割り込んだのだ。そして、捲りげられた美紀さんの腕を、まるで宝物に触れるかのように両で包み込んだ。
「美紀さん、何言ってるの! あなたがこんなたい仕事なんてしちゃダメよ。京でを使う派なお仕事をして、毎疲れてるんでしょう? わざわざ末に帰ってきてくれたんだから、母のコタツでゆっくりテレビでも見てなさい」
「でも、お義母さん。この量を織さんでやるのは物理に無理です。
パートの方たちもいらっしゃらないようですし」