"夫の「俺の奢り」は、私のカードでした" 第3話
『お父さん、歳おめでとうございます!』 撮している彩の弾んだ声。
『いやあ、きはするものだな。こんな豪華なに乗せてもらえるとは』 義父が嫌でワイングラスを掲げる。 その隣で、夫が胸を張り、満げに笑っていた。
『親父、の配なんかしなくていいんだよ。全部俺が何とかするから』
その傲な台を聞いた瞬、私の唇からたい笑いが漏れた。 全部自分が何とかする? その豪語の裏付けになっているのが、誰の会社の経費で、誰の信用カードなのか、本当に理解していないのだ。
続いて送信されてきた写真を見て、線が止まった。 夫の隣に、いスリットの入ったネイビーのイブニングドレスを着た女がっていた。 野望美。 慣れた仕で義父のグラスにワインを注ぎ、完璧な営業用の笑みを浮かべている。
さらに別の画。 義母の苗が、望美の肩に親しげにを回してカメラに向かってを振っていた。 『望美さんが配を全部伝ってくれたのよ。本当に気が利く良い子ねえ』
画面の隅で、夫が望美の腰に自然なつきでを回すのが見えた。 義妹の彩が瞬だけ引きつった顔で目をそらし、その夫が気まずそうにグラスを見つめている。
っていたのだ。 義父を除く全員が、この女が正斗のであるとったで、私をあざ笑うようにへ連れしたのだ。
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『嫁には黙っておけばいい』
以、義実のリビングの隅で、義母が彩に打ちしていた言葉が、々しく蘇る。 あのの義母の、見すような笑い。 嫁など適当におだててと会社の雑用を押し付けておけばいい、息子の遊びくらい母親である自分が守ってやる――。 そんな醜悪な特権識が、画面の向こうから悪臭のように漂ってくる。
私は静かに画の再を止め、画面を伏せた。 涙は滴もなかった。 ただ、胸の奥のたい炎が、静かに青く燃え盛るだけだった。
その翌、会社の監査システムから通が届いた。 川率いる監査部が、正斗本部と野代表の法カードの利用止を本執したというログだった。
直、夫から私の個端末にメッセージが入る。
『会社のカードがエラーになる。監査が何か勘違いしていてるみたいだ。おの方で至急解除の続きをしておけ。親父の、恥をかかせるな』
どこまでもから目線の、命令调。 自分が横領の疑いで首に縄をかけられている自覚すら持っていない。 会社のカードが止まっても、自分の財布には私名義の族カードが入っている。 いざとなれば個の座を使えばいいと、をくくっているのだ。
私は画面をタップし、極めてく、事実だけを返信した。
『私名義の族カード枚は、数にすべて解約しました。
法カードについては監査部の正式な判断です。今の滞費および移費は、ご自の資産で決済してください』
送信。 それきり、夫からの返信は途絶えた。 ので、あの男がどんな顔で画面を凝したか、像するだけで胸がすくようだった。
だが、本当の獄は、をりた陸ので待っている。
フランス・マルセイユ港。 のい差しが、く乾いたコンクリートの埠を容赦なく照りつけていた。
の優雅な旅を終えた藤沢のは、のような級ブランドの袋と、巨なリモワのスーツケースに囲まれてにち尽くしていた。
「正斗、くに乗せてちょうだい。差しがくて目眩がしそうだわ」 義母の苗がつばの広い子を押さえながら、苛たしげに文句を言った。
「わかってるよ、今呼んでる」 正斗は額の汗を拭いながら、ロータリーに横付けされた黒塗りの型メルセデス・ベンツの送迎へと歩み寄った。 事に本からチャーターしておいた、マルセイユ内のつホテルへと向かうための専用ハイヤーだ。
内での細々とした代は、乗に登録していたデポジットの残額と、正斗自の個デビットカードで何とか辻褄をわせて凌いできた。 礼子から届いたあの穏なメッセージも、「どうせ脅しだ」