"「妻も了承した」夫が勝手に約束したのは、亡き母のマンションだった" 第4話
私が「義実から嫌われている」とじていた、すべての面。 義族が「奈美さんはたい」と私を責めてていた、すべての来事。
その真んに、いつもあのがっていた。
脱所のドアがき、バスタオルで髪を拭きながら夫がリビングに戻ってくる。
「奈美、喉乾いたんだけど。ビール取ってくれよ」
いつもの、甘えるような、屈託のない声。
私は画面を伏せ、ゆっくりと顔をげた。
「……ええ、今持っていくわ」
ちがった私の線の先で、夫は何の疑いもなく、テレビのリモコンへとを伸ばしていた。
蔵庫から缶ビールを取りし、グラスと緒にテーブルへ置いた。 缶の表面についた滴が、指先を湿らせる。
「はい、ビール」
「お、サンキュ」
夫は画面に線を固定したまま、片でプルタブを引き抜いた。 気のいい破裂音が、静かなリビングに響く。 喉を鳴らして黄の液体を流し込む横顔を、私はったまま見ろしていた。
このは今、どんな気持ちでここに座っているのだろう。 母親には「奈美が任せろと言った」と吹き込み、妹たちには「奈美が嫌がっている」と嘘を吐く。 すべてを自分のので転がし、誰も傷つけない「優しい男」の仮面を被ったまま、ビールを美そうに喉へ流し込んでいる。
吐き気を覚えるほどの、圧倒な無神経。 けれど、私の拍は驚くほど平坦だった。
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ここで鳴りつけても、何のもない。 「誤解だ」「悪気はなかった」と笑いを浮かべて逃げを塞ぐだけだ。 必なのは、言い逃れの余をミリ単位で削り取る、かぬ事実の積みね。
私は何も言わず、寝へ向かった。 暗がりの、ベッドに腰をろしてスマートフォンをく。 義妹の真紀さんと、義姉の綾子さん。から届いたメッセージが、たいを放っていた。
『真紀さん、綾子さん。今夜は遅いので、詳しく聞かせてください。が悟さんから聞かされていた言葉を、すべてそのまま残しておいてほしいです』
送信ボタンを押す。 画面を見つめる私の指先は、もう震えていなかった。
翌の曜。 夫は「休勤になった」と言い残し、朝くからをてった。 本当に仕事なのか、それとも昨夜の嘘が義実で炎している消しに向かったのか。 どちらでもよかった。あのがいないは、私にとって何よりの好都だった。
正午過ぎ、真紀さんからいメッセージが届いた。 添付されていたのは、過数分の族グループと、夫との個トークのスクリーンショット。
画面をスクロールするたびに、胃の腑が氷で満たされていくような覚に襲われた。
先の義母の誕。 夫から義母へ送られたメッセージ。
『奈美は仕事がて込んでるって言ってるけど、本当は母さんの言を聞くのが億劫みたいなんだ。
俺から級なスカーフ買っておいたから、これで勘弁してやってよ』
……は?
文字のを理解するのに、数秒かかった。 あのスカーフは、私が週からデパートへを運び、義母の好む淡い藤のシルクを選んで、きのメッセージカードまで添えたものだった。 それを、夫は「自分が転を利かせて買い、妻の無礼を埋めわせた」という筋きにき換えていたのだ。
カードは、どこへ捨てたのか。 私の名は、どこで消しられたのか。
さらに、の綾子さんの婚の記録。 当、元夫のモラハラに苦しみ、幼い娘を連れて実へ逃げ込んできた綾子さん。 夫は私に対し、「姉ちゃんは今、惨めな姿を誰にも見られたくないって言ってる」と吹き込み、私をざけた。
だが、夫が綾子さんに送っていたメッセージは、真逆だった。
『奈美に相談してみたんだけどさ。「自業自得だし、の庭の揉め事に巻き込まれたくない」って言われちゃってさ。たいよな。でも俺は最まで姉ちゃんの方だから』
スマートフォンの画面を握りしめるに、爪がい込む。 痛烈なりを通り越し、脳の芯が急速にえていく。
この男は、ずっとこれを繰り返してきたのだ。 妻を「淡で常識のない悪者」に仕てげ、自分は「妻の非礼を詫び、族を支える聖」
を演じる。 族が私を憎めば憎むほど、夫の株はねがる。