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"結婚3週間前、私のマンションを「弟に10%譲れ」と言った婚約者" 第6話

【杉健太がメッセージの送信を取り消しました】

トーク画面から画像が消える。だが、遅い。私の指先は、画像が表示されたコンマ数秒のうちに、すでにサイドボタンを押し込み、完全なスクリーンショットを端末のストレージに保していた。

元のスマートフォンを、私は静かに卓へ置いた。震えは完全に止まっていた。胸を満たしていたのは、かつてした男に対するれみでも、裏切られたしみでもない。この寄虫たちを、社会に、法に、度と再できないレベルまで完璧に叩き潰すという、酷な決だけだった。

保したスクリーンショットを、クラウドの暗号化フォルダと付けハードディスクの双方へにバックアップした。画面のを反射するデスクので、指先は恐ろしいほど静かに、械にいていた。

を交える段階は、完全に終わった。相が仕掛けてきているのは、単なる無神経な甘えや族の図々しさではない。私から騙し取った持分を即座に第者へ転売し、私に共物分割請求の沼を背負わせるという、極めて計画で悪質な資産略奪スキームだ。

翌朝、私は勤にコンビニのマルチコピーへ寄り、健太が誤爆したLINEのトーク画面と、匠が送りつけてきた「資産形成計画」のPDFをそれぞれ部ずつ印刷した。

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黒のトナーで定着された片をクリアファイルに収めると、たい現実が徹な武器となって元に収まる。

始業、私は会社くの郵便局へ向かい、通の内容証郵便を発送した。受取は杉匠、および杉健太。

差である私の表示は、簡潔にして隙のない文面に絞り込んだ。『当方は、所するマンションの切の持分について、贈与、売買、担保設定そのいかなる権利移転のもしない。また、杉匠および杉健太に対し、第者とので本産に関する交渉、査定、誓約をう権限を切与えていない。万、虚偽の事実を告して第者と交渉を継続した、法措置を講じる』

実印を押し、確定付の入った謄本を受け取る。これで、が「里奈もしている」と産業者に嘘をついて事査定をめる逃げは、法に塞がれた。業者がどれほど怪しい持分専業者であろうと、真正の権利者から確な拒絶通が届いていれば、迂闊な買取契約を結べば詐欺の共犯リスクを負うことになるからだ。

午の業務を淡々とこなしている最、元のスマートフォンが微かに震えた。画面に浮かんだのは、父からの着信表示だった。私は湯へ移し、に通話ボタンを押した。

「里奈か。先ほど、匠君が私の自宅に来た」

父の声は驚くほどく、え切っていた。

「……お父さんのところに? 会社を休んでったの?」「ああ。菓子折りを持って、玄関で待ち伏せしていたよ。式を急にキャンセルされて混乱している、娘さんの頑なな態度を親御さんから宥めてほしい、とな」

わず喉の奥から乾いた息が漏れた。私に法な退を塞がれ、話しいの余がないと悟るや否や、今度は親世代の「世体」を揺さぶりにったのだ。結婚式直の破談を親が恥じ入り、娘に妥協を促すはずだという、昭の残滓のような甘い計算が透けて見える。

「お父さん、何て言ったの」

「そのまま聞いたよ。『君は誰の財産で弟に良い顔をしようとしたんだ』とな。あいつは『弟が結婚相の実に引け目をじているから、男としてろ盾になってやりたかった』と繰り返すばかりだった。だから言ってやった。『弟を助けたいなら、君が自分の貯を全額渡すか、君自の名義で借でもして面しなさい。なぜ私の娘が血を流す必があるのか』とね」

父の容赦ない正論に、匠は言葉を失い、顔を真っ赤にしてち尽くしていたという。だが、事態が急転したのはその直だった。

「私が引き取りを求してドアを閉めようとした、あいつの携帯に母親から話が入ったんだ。スピーカーの音が漏れていてね。

『健太のほうがもう待てない状態なのよ! あんたが何とかしないと、あの子の破産よ!』と喚いていた」

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