"実母の50万円、義母の500万円" 第3話
い先投資でしょうに」
義母は満そうにを鳴らし、親戚の文へ自の話をかけ始めた。私は努めて静を装い、夫に全契約類の示を求めて病院のロビーへ戻った。
ベンチで広げた資計画に目を落とすと、百万円のほかに額利用料など毎万円の維持費が並んでいた。私は隣で爪を噛んでいる夫へややかに告げた。
「の百万円だけでなく、毎万いこの費用も私が払う計算になっているの?」
「いや……それは入居させてから考えればいいんだよ。まずは部の確保が先決だろ」
夫は卑屈に笑いながら、無識にを伸ばしていた。私の通勤バッグ――通帳と印を収めている内ポケットのあたりへ、その指先がすがりつくように触れていた。私はその欲な指先を、切のを排した瞳で見据えた。
「触らないで」
私がく告げると、夫は傷でもしたかのように指先をねげた。
ロビーをき交う々の音が、くの波音のように響いている。私はバッグのファスナーをきっちりと閉め、膝のに引き寄せた。
「み、美咲……冗談だろ? 母さんのためなんだぞ」
「冗談に見える? 私はこの百万円をす気はないわ」
「なっ……! さっきは検討するって言ったじゃないか!」
夫は信じられないものを見るように目を見き、待の子から腰を浮かせた。
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血った目が、私の胸元を刺すように睨みつけてくる。
「類を確認すると言っただけよ。も見ずにをすなんて、契約の基本としてあり得ないわ」
私は膝のの資計画をたいつきで畳み、夫の胸元へ突き返した。、私の母の術費万円を嘲笑った男の顔が、りと焦燥で歪んでいく。
「で百万、毎の支払いが万。これを私が払い続ける根拠がどこにあるの? 入居したいなら、あなたの名義で契約して、あなたの料から払いなさい」
「俺の料だけでそんな払えるわけないだろうが!」
「なら、諦めるか、お義母さんのを売却して資を作るべきよ」
夫は息を呑み、まるで親の仇を見るような顔で私を睨みつけた。
「実を売るなんて絶対に許さない! 男の俺がを守るのは当然だろうが!」
「それなら、あなたの守りたい見栄のために私のおをあてにしないで」
私はそれ以言葉を交わさず、ロビーの自ドアへ向かって歩きした。背から夫が何かを喚き散らす声が聞こえたが、度も振り返らなかった。
翌朝、私は勤にメインバンクの窓へを運んだ。
自宅の引きしに保管していた自分名義の通帳冊と、き父の遺産分割協議の原本を鞄から取りす。すべて結婚の預と実父の遺産であり、法な特財産であることを証する類だ。
窓で続きをい、通帳類はすべての貸庫へと移した。キャッシュカードの暗証番号もそので変更し、夫が物理にも法にも私の財産に指本触れられないよう完全に隔する。
続きを終えてにると、スマートフォンを取りし、夫へメッセージを送信した。
『アリアコートの入居百万円について、私が贈与、貸付、または保証となることは切ありません。契約をめるは、すべて公平さんご自の資で完結させてください』
文字として残すことで、言った言わないの掛け論を未然に防ぐ。契約管理の現で常にっているリスクヘッジを、私は淡々と庭に適用した。
そのの夕方、アリアコートの優先入居枠の振込期限が静かに過ぎった。
夜の過ぎ、玄関のドアが乱暴にかれた。
音だけで、夫がり狂っていることがにとるように分かった。リビングのドアを蹴破るような勢いで入ってきた夫は、スーツのネクタイを乱暴に引きちぎる。
「お、本当にを振り込まなかったのか!?」
「ええ、朝のメッセージで伝えた通りよ」
私はダイニングテーブルで会社の類に目を通したまま、線すらげずに答えた。
「キャンセルされたんだぞ! 母さんがどれだけ楽しみにしていたか分かってるのか!?」
「お義母さんが入りたいなら、キャンセル待ちのにご自でを売る続きをなさるべきよ」