"夫の親孝行は、私の持ち家でした" 第10話
今の良きのために、私がしっかりお声をかけておいたんだから」
「ありがとう、母さん。男として、筋は通しておかないとな」
修は得げに頷き、座の座布団のにどっかと胡をかいた。
私はその並びから最もれた、末席――座の入りにい席へと音もなく腰をろした。
やがて、親族たちが次々と部に入ってきた。
修の父の弟にあたる本の叔父夫婦。
隣にむ従兄弟たち。
総勢名い親戚が座敷を埋め尽くすと、部の空気は気に親族特の濃密な内識で満たされた。
「お義兄さん、お待たせしましたー!」
最に滑り込んできたのは、義弟の浩と美智子だった。
美智子は違いに華美なワンピースを着飾り、浩は調したばかりのジャケットを着て、ペコペコと親戚にをげながら席に着く。
「いやあ、親族がこうして集まるのも、の親父の周忌以来だな」
本の叔父がを切り、座敷を見渡した。
「子さんも、息子ので元気に暮らしているようでしたよ。修くんがしっかり男の責任を果たしてくれているおかげだな」
「ええ、本当にそうなのよ、叔父さん」
子は待っていましたとばかりに両をわせ、げさに頷いてみせた。
「修は昔から、弟いで母親いの優しい子でしたから。私が実でし転んだも、ももなく『母さんは俺が引き取る』と言ってくれて。
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本当に、頼もしい男を持てて私は幸せ者ですわ」
座敷のあちこちから、嘆と賞賛の声が漏れる。
「さすがは修さんだ」
「今の代、親を引き取るなんてなかなかできることじゃないよ」
「浩くんも、いい兄貴を持ってがいだろう」
親戚たちの言葉に、浩はビールを喉に流し込みながらきく頷いた。
「ええ、もう完全に兄貴に頼りっぱなしですよ! 兄貴が『族の面倒は全部俺が見る』って言ってくれてるんで!」
美智子も、隣の叔母に向かって甲い声で同調する。
「お義兄さんは本当に器がきくて。私たち夫婦の将来のことまで、全部考えてくださってるんです!」
賞賛の嵐ので、修は謙遜する素振りすら見せず、満げにビールグラスを傾けていた。
その線が、末席に座る私をチラリと捉える。
『見ろ、これが俺の力だ。おは黙って従っていればいいんだ』
そう雄弁に物語る、傲な線だった。
私は膝のに置いたバッグの触を確かめながら、度も目を逸らさずに夫の顔を見つめ返した。
料理が盤に差し掛かり、酒が親族たちの頬を赤く染めげた頃。
子がわざとらしく咳払いをし、座敷を見渡した。
「皆様。今、こうしてお集まりいただいたのは、ただの事会のためではありませんの」
座卓がふっと静まり返る。
子は誇らしげに目を細め、隣の男を見つめた。
「実は、の未来に関わる、とてもばしいご報告がございますの。……修、あなたから皆様にお話しなさい」
「はい、母さん」
修は待ってましたとばかりに座布団からちがり、スーツのボタンを留めた。
座敷の央にみて、堂々と胸を張る。
「本はお忙しい、のために集まっていただき、より謝申しげます。すでにごの通り、父がくなってが経ちました。私は男として、これからのをどう守っていくべきか、夜も眠れずに考え続けてまいりました」
流暢な調。
昨夜、パソコンの画面で見たあのスピーチ原稿の通りだった。
「母も齢になり、これからの健康や活線を考えますと、今のまいでは限界があります。また、弟の浩夫婦も賃貸暮らしで苦労をねております。そこで――私は男としての責任において、ひとつのきな決断をしました」
親戚たちが固唾を呑んで修を見つめる。
「内の等に建設の最分譲マンション『グランドメゾン』の最階、広な4LDKを購入することにいたしました」
座敷が、ワッとどよめいた。
「グランドメゾンだって!?」
「あそこの最階といえば、千万円以はするだろう!」
「すごいな、修くん! さすが営業課だ!」
親戚たちの驚嘆の声に、修の元が抑えきれない笑みで歪む。
「母の部はもちろんのこと、浩夫婦の部も確保し、族全員がひとつ根のでして暮らせる終の棲を用いたします。