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"夫の親孝行は、私の持ち家でした" 第3話

「いやいや、実に戻すなんて論だろ。あんな田舎で暮らしさせたら、今度こそ何かあったに取り返しがつかない。……それよりもさ、いっそのこと、もっと便利な駅のマンションに買い替えるっていうのも、つのだとわないか?」

「買い替え?」

私はわざと目を丸くしてみせた。

「そんな急に言われても。このはどうするのよ」

修はく笑い、ビールの缶をテーブルに置いた。

「どうするって、売ればいいんだよ。は悪くないんだから、そこそこの値段で売れるだろ。そのをにして、エレベーター付きの広い最マンションに乗り換える。そうすれば母さんもだし、俺たちの老も泰だ。族みんなが幸せになれる名案だとわないか?」

族みんなが、幸せになる。 よくもまあ、私の持ちを売る提の言葉を、ここまで滑らかに吐きせるものだ。

「売るって……そんな簡単な話じゃないでしょう。ここは私が結婚に買ったよ」

「なんだよ、お、まだそんな昔のことにこだわってんのか?」

修はあからさまにそうな顔をし、を鳴らした。

「以も夫婦やってんだぞ? 俺の稼ぎでおたちをわせてやってるんだから、今さらおのものだの俺のものだの言ってるかよ。族の資産は、族全員のために効活用するのが当たりだろ」

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養ってやっている、という言葉に、私の内側でたい刃が研ぎ澄まされていく。 活費の折半、宅ローン完済済みの居提供、固定資産税の負担。 この男が私を「養った」ことなど、過に度たりともない。

「まあ、今はただのアイデアだよ。独り言だ」

修は私の線を避けるようにちがり、呂へと向かった。 私は何も言い返さず、静かにテーブルを拭いた。

夜。 のが静まり返り、階の寝から夫のいびきが聞こえてくるのを確認してから、私はリビングへりた。

部の隅に置かれた、夫の黒いビジネスバッグ。 私は躊躇することなくファスナーをけた。 罪悪など微もない。 私の財産を勝に売りばそうとしている相の陣を偵察するのは、正当防だ。

内ポケットに、見慣れない沢のあるが差し込まれていた。 引き抜いて広げる。

内の等に建設の、級築分譲マンション「グランドメゾン」のカラーパンフレットだった。 最階にい角部。 専面積は平米を超え、取りは広な4LDK。 販売予定価格は、千百万円と記載されている。

パンフレットの余には、夫の乱暴な跡で細かなメモがき殴られていた。

『現自宅売却:2,600万(全額)』 『ローン借入:2,800万(修単独・35)』

息が止まりそうになった。 私のを丸ごと売り払い、その代を円も残さず居のに充当する計画。

そして居の名義は、当然のように修単独。

私の婚特財産を換させ、夫個の産へとロンダリングする――。 完全なる財産奪の青写真だった。

だが、私の目を釘付けにしたのは、その資計画の数字ではなかった。

広な4LDKの取り図。 主寝とわれるには『修・真由美』。 には『母さんの部』と赤ペンでかれている。

そして、残されたつの。 そのうちの広い方の部を囲むように、太い赤のサインペンで、こうき込まれていた。

『浩・美智子』

……浩夫婦?

私の線が、その文字に縫い止められた。 浩。修の弟。 定職に就かず、派遣やアルバイトを転々とし、築の賃貸アパートで妻の美智子と暮らしている義弟だ。

なぜ、居の取りに、弟夫婦の名があるのか。 なぜ、私のを売ったで買うマンションに、あのの部が用されているのか。

背筋を、氷がツーと流れ落ちるような悪寒がった。

翌の曜。 夫が勤した、私はリビングのソファで、元のスマートフォンを操作していた。 法務局のオンライン登記報提供サービスにアクセスし、自宅の最の登記報を取得する。 画面に表示された甲区の所者欄。 そこには違いなく『真由美』の単文字が刻まれている。 夫の抵当権も、持ち分移転の仮登記もない。

「真由美さん、お茶淹れてちょうだい」

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