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"花嫁が逃げた祝言で、毒を盛られた若旦那が選んだ女中" 第11話

ある夜、源は宇兵を自の帳の奥に呼び寄せ、声を潜めて尋ねた。

「宇兵、おはお染の過について何か私に隠していることはないか。あの子は体どこから流れてきて、どのような親の元にまれた娘なのだ」

お染の過酷な宿命を独断でかすわけにはいかない宇兵は、慎に言葉を選んで答えた。

「2ののる夜、表のに力尽きて倒れていたのを、この老いぼれがれにって拾いげたまででございます。が聞こえずもきけぬ娘ゆえ詳しい事はわかりませぬが、お染という娘はめったに類を見ぬほどけく真っ当な娘でございます」

源はそれを聞き、満げにく頷いた。

「わかっている。あの子にはには言えぬい事ときなの傷があるのだろう。私は無理にそれを暴こうとはわぬ。ただお染がこの敷で、私の傍でこれから先ずっと穏やかに暮らしてくれれば、それだけでよいのだ」

分や過の因縁に囚われずそのものの本質を見抜く源の器量に、宇兵は目をくした。

しかしその頃、庄兵はひと舐めすれば臓腑が焼け爛れて即するという取引の劇薬をに入れ、権蔵に握らせていた。源を確実に仕留めると同に、その罪をお染1に着せて処刑台へと送り込む策略を練りげていたのだ。

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まず、お染が常に源の薬を扱っている姿を敷内のくの奉公たちの目に焼きつけさせるため、庄兵は勢が集まるでお染をこれ見よがしに褒めちぎった。

「あののきけぬ女は、若旦様の薬を毎朝晩に煎じておる。実にながけではないか。これからも若旦様の薬の汰は、全てあの者に任することとする。卑しいまれの者とはいえ、皆もあの者の精ぶりを見習うがよい」

庄兵の胸の内に巣う黒い謀などる由もない奉公たちは、その言葉を真に受けてくした。だがそれは、源が猛毒で命を落とした際、全ての疑いがお染1に集するように堀を埋める恐ろしい縄目だった。

お染は、庄兵が自然なほど自分を持ちげて薬を専任させたことや、ここ数の権蔵の慌ただしいきから、相が線を越えた凶を企て始めていることを敏に察した。

お染はこれまでに源の薬から抽して溜め込んでいた毒の末を、の自のの全な所へと厳に隠した。さらに宇兵と共に、権蔵が薬のに毒を投入する現を押さえる具体策を練りげた。

そのの夜更け、権蔵の音が夜を通して騒がしいことに気づいていた源も、かりを落とした奥座敷に宇兵とお染を集めた。

「やはり叔父が何かしい企みをめておるに違いない。権蔵の音が最やけに騒がしいのだ」

お染はすぐさまのわずかなに指先で文字をいて答えた。

『どうかこれまで以に万全のご用をお願いいたします。庄兵様はおそらく、次こそ撃で命を奪う凶悪な段にてまいります』

「若旦様、お染の申す通りでございます。これからはおにされるや事の全てを、必ず1度お染のを経たものだけになさってください」

宇兵がくを押すと、源は厳かに頷き、薬の周りを徹底に見張るよう命じた。

お染はまず、権蔵が薬で1になる瞬を狙って毒を忍ばせる現を宇兵に目撃させ、確固たる第者の証を作ることにした。

用い権蔵の警戒を完全に解くため、お染は権蔵が通りかかるのを見計らっては、わざと元からよだれを垂らし、目の焦点をの方向へわせてもなくを雑巾で叩きつける痴の真似を演じてみせた。

「あのような救いのない痴の女が、毒の匂いなどわかるはずがねえ。気にするだけの無駄だ」

権蔵はで笑って切の警戒を捨て、お染が傍にいようがいまいが交じりに毒を盛るようになった。

お染は事に宇兵と図を決めておき、権蔵が夜更けに薬へ侵入してくる寸、薬の隣にある物置の暗い障子の隙に宇兵を忍ばせた。

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