"サンダル履きの妻を、夫が売る日" 第12話
「今期から改定された、全社統のガバナンス基準です」
私は穏やかに、しかし逃げのない徹さで告げた。
「特に利益相反申告は、仲介業者や役員親族への当な利益供与を防ぐための必須類です。やましいことが何つないのであれば、すべて事実通りにご記入の、来週曜の『第1回・サプライヤー提案最終審査会』までにご提ください」
「らい……来週曜!?」
岸本が裏返った声をげた。
「そんな期で用できるわけがないだろう! フジワラフーズは元の零細企業なんだぞ! もっと柔に対応しろ!」
「ロットの全国流通を担う企業が、基準と調達能力の証をせないとおっしゃるのですか?」
私は岸本を真っ向から見据えた。
「もし万が、納品に異物混入や供止が起きた、全責任を岸本部個が私財を投げ打って補償されるのであれば、私の承認印なしで稟議を通されても結構ですが」
岸本が息を呑み、言葉を失った。
私財を投げ打って補償など、できるはずがない。
理は拳をワナワナと震わせ、類を乱暴にひったくった。
「……せばいいんでしょう、せば! 完璧な類を揃えて、審査会であなたのをかしてあげるわ!」
が逃げるようにちった、私は静かに息を吐きした。
罠には、かかった。
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フジワラフーズに、そんなロットを製造できる能力など端からしない。
せるはずのない証をそうとすれば、何が起きるか。
数字を偽造し、虚偽の提携先を仕てげ、無理な契約を結ぶしかない。
自ら墓穴を掘り、底なし沼へとを踏み入れるのだ。
そして――そのの夕方。
決定な証拠が、向こうから私の元へと転がり込んできた。
内線話が鳴った。
相は、が社の特産品加を請け负ってくれている、元の菓子メーカーの営業部・松さんだった。
『あ、藤原主任? ちょっと奇妙な相談がありましてね、今よろしいですか』
「松さん、いつもお世話になっております。どうされましたか?」
『実はね、昨、フジワラフーズの社さん……あのお母様ですよね? それと京から来たという見らぬ女性が、うちのにび込みで来られましてね』
松さんの声は、ひどく困惑していた。
『来から千セットの焼き菓子を緊急で卸してくれ、箱詰めと包装もそちらで全部やってくれと頼まれまして。あまりに急な話ですし、うちのキャパシティにも無理だとお断りしたんですがね、「の流通が決まっているから絶対に損はさせない、マージンを乗せした見積もりを今すぐせ」と詰め寄られましてね』
私は受話器を握り直した。
「……マージン、ですか」
『ええ。そのに置いていかれた、彼女たちが作成したという「事見積仕様」があるんですが……どうも数字の内訳が自然でしてね。藤原さんの会社を通す案件だと伺ったので、確認のためにFAXで送らせてもらいましょうか』
「ありがとうございます。至急、お願いします」
分。
複から、枚の用が吐きされた。
松さんから送られてきた、フジワラフーズ作成の見積仕様。
そこには、法にねげられた納品単価と、自然な名目の数料が並んでいた。
私の目は、原価内訳の最段に釘付けになった。
『販売促費・業務紹介フィー:5%』
『振込指定先座:井友 〇〇支 普通 〇〇〇〇〇〇』
『座名義:健太コンサルティング・パートナーズ 藤原健太』
臓が、たく、激しく脈打った。
紹介・営業協力費。
単価の%。
万セットがけば、それだけで何百万円というが、夫の秘密座へ無条件で転がり込む計算だった。
妻が会社でどれほどのにあり、どんな責任を背負っているのかもらず。
ただ「妻のコネ」を利用して、妻の会社のを、義母と同然の女と共謀して掠め取ろうとする構造。
「……救いようのない、愚か者たち」
私は震えることのないで、そのFAX用をスキャナーに通し、法務の密フォルダへと送信した。
全ての駒は揃った。
虚偽の経歴。
架空の製造能力。
そして、な利益相反と背任の証拠。
来週曜の提案審査会。
義母が親戚に自し、夫が泡銭を見ているあのれの台で。