"「寝かせた金」と呼ばれた一千万円" 第11話
しん、と音が消えた。
誰もが言葉のを理解できず、を半きにして私を見つめている。
「……は?」
義母の喉から、の抜けた音が漏れた。
「ちょ、ちょっと織、何を言ってるのよ、この席で!」
夫がガタッと音をててちがった。
顔が真っ赤に気し、額に青筋が浮きている。
「おい! 親戚のでつまらん冗談言うな! お、酒もんでないのにがおかしくなったのか!?」
「冗談ではありません」
私はを切交えず、氷のような差しで夫を見ろした。
「資もいたしません。銭の貸付もいたしません。融資の連帯保証になることも、私の預を担保に差しすことも、切いたしません。最初から、円たりともす志はありませんでした」
「な……っ!」
義母がちがり、テーブルをバンと叩いた。
「織さん! あなた、親族同が集まるこのおめでたい席で、にを塗る気なの!? 亮介がどれだけのいでこのをちげようとしてるか、ってるでしょう! 千万円すって言ったから、みんなこうしてお祝いに集まってくれたんじゃないの!」
「言ったのは誰ですか?」
私は義母の目を真っ向から射抜いた。
「私のから、千万円すと聞いた方が、この部にでもいらっしゃいますか?」
誰も答えない。
叔父たちも、叔母たちも、気まずそうに線を泳がせ、互いに顔を見わせるだけだ。
広告
「誰もいないはずです。なぜなら、私自が数まで、この計画を切らされていなかったからです」
「嘘を言うな!」
夫が鳴り声をげ、私の腕を掴もうとを乗りしてきた。
「おは納得したはずだ! 男の嫁として、族を支えるのが筋だろうが! たかが千万くらいで、こんなれ台を台無しにする気か!」
「たかが千万?」
私は夫のを、徹な力で振り落とした。
「その『たかが千万』を奪うために、あなたが何をしたか、皆様のでお話ししましょうか」
私は膝ののレザーファイルをき、から部の類束を取りした。
そして、それをテーブルの央、義母と夫の目のへ叩きつけるように置いた。
バサリ、といの音が響く。
番に置かれていたのは、の公式な受領印が押された類だった。
「これは、数に私のメインバンクから通された、融資保証申込の写しです」
親戚たちの線が、テーブルのの類に吸い寄せられる。
「私の名、私の、私の勤務先。すべてが勝に記入され、私の定期預千百万円を担保にするための保証承諾が、へ提されていました」
私は類の最部、署名欄を指差した。
「ここにかれた『織』の文字。私の跡を稚拙に真似た、完全な偽造です。私はすでに窓にて、正式に正利用申を提し、私の全座に取引止のセキュリティロックをかけてまいりました」
部のが、ざわりと波打った。
「偽造……?」
「おい、健、これどういうことだ……?」
叔父のが、青ざめた顔で夫に問いかける。
「ち、違う! 偽造なんかじゃない!」
夫の額から、滝のように脂汗が噴きしていた。
「事に話を通しておくために、俺が名を代しただけだ! 夫婦なんだから、それくらいの裁量はあるだろ! でちゃんと説するつもりだったんだ!」
「配偶者の財産であっても、本の承諾のない署名は私文偽造罪、同使罪に該当する派な犯罪です。夫婦の裁量で許される範囲を完全に超えています」
私は容赦なく言葉を叩きつけた。
「さらに、ここにいる亮介さんの事業計画。そこには私の同もないまま、『義姉・織より千万円拠予定』と堂々と記載されていました。融関を欺いて融資を引きそうとする、詐欺な資計画です」
亮介の顔が、気に変わった。
グラスを持つがカタカタと音をてて震えている。
「あ、兄貴……! 話が違うじゃないか! 織さんには絶対に承諾を取ってあるって、兄貴が言ったから俺は……!」
「黙れ亮介!」
夫が血相を変えて弟を鳴りつけた。
「織、お……いい加減にしろよ! のの揉め事を、なんでこんな親戚のでぶちまけるんだ! 恥をれ、恥を!」
「恥をるべきなのは、どちらですか?」
私はややかに言い放ち、レザーファイルから、枚目の類束を取りした。