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"「寝かせた金」と呼ばれた一千万円" 第5話

「ええ。昨の朝、窓で取引止のロックをかけたわ。正利用の申告も提して、担当者から受領証を貰った」

『よかった。まずは第関クリアね。で、義理の弟の計画にあなたの名があったって話だけど……』

「拠予定額、千万円。私の定期預を担保にする提で、公庫への申請類が作られていたわ。夫が経営協力者として名を連ねてる」

『……最悪ね。完全にあなたをカモにする気満々じゃない。公庫の審査担当者も、配偶者の特財産をあてにした杜撰な計画なんて発で弾くでしょうけど、万がにも保証契約に実印を押されたり、印鑑登録証を持ちされたら面倒なことになるわよ』

「実印と通帳、権利証は昨のうちに貸庫へ移したわ。自宅には切置いてない」

由紀が話の向こうで、く息を呑む気配がした。

『流ね。がいわ。……で、これからどうするの?』

「政士を通して、夫に内容証郵便で同通を送る。それから、公庫と相方が接触している信用庫の融資窓にも、私から『名義冒用に関する警告申』を提しておくつもりよ」

『完璧な堀の埋め方ね。加減なし?』

「加減する理由がどこにあるの? 、私が朝から晩まで働いて守ってきたおよ。の見栄や無能の始末に、円だってくれてやる筋いはないわ」

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『いいわよ、織。あなた、最に冴えてる。融資関係の式でわからないことがあれば、いつでも類をチェックしてあげるから』

「ありがとう、由紀」

通話を切り、私は通勤用のバッグにクリアファイルを滑り込ませた。

に溺れている暇はない。

相は、私のの結晶を「ただ寝かせてあるだけの」と言い放ったのだ。

法と制度という名の徹な刃で、その指を根元から切り落としてやる。

そのの夜。

午を回った頃、玄関のドアが乱暴にいた。

「ただいまー!」

夫が、絵に描いたような嫌でリビングに入ってきた。

には所のデパで買ってきたらしい級焼き鳥のパックがぶらがっている。

「織、まだ飯ってないだろ? いい焼き鳥買ってきたぞ。亮介の件、母さんに話したらさ、親戚に連絡してくれたみたいでさ! 曜の決起集会、叔父さんたちもみんな来てくれるってよ!」

夫は着をソファーに脱ぎ捨て、テーブルのに焼き鳥のパックを並べた。

「みんな、織の決断を褒めてたぞ。『の嫁として、これ以ない尽くし方だ』ってな。母さんもがいってさ。男の嫁がこうやって族を支えるのが、本来の筋ってもんだろ?」

私はソファーに座ったまま、その軽な顔をただ見つめていた。

族を支える。

男の嫁。

をけば、カビのえたような都のいい言葉ばかりが並ぶ。

その実態は、妻個の貯を無断で奪い、弟の博打に注ぎ込もうとしているだけの棒だ。

「健」

私はく、静かに名を呼んだ。

「ん? なんだよ、ビールえてるか?」

私はちがり、鞄から取りしたクリアファイルを、焼き鳥のパックの横に置いた。

から取りした枚の面。

『表示撤回兼資拠同通告』。

「これ、読んで」

「あ? なんだよこれ。類?」

夫は怪訝そうに眉をひそめ、油のついた指で類を引っ張りした。

最初の数を目で追った瞬、夫の表がみるみる固まっていく。

「……は? い、表示……撤回? 資拠同……?」

夫の瞳が、激しく揺れいた。

喉がごくりと鳴る。

「おい、織……これ、どういう冗談だよ」

「冗談に見える?」

私は夫の正面にち、両腕を組んだ。

「私は亮介さんのカフェ事業に、円も資しない。貸付もしない。保証にもならない。あなたの独断で勝に私の名を使ったことについても、切追認しない。そのを、法な効力を持つ面としてあなたに通告したの」

「な……っ!」

夫の顔が、気に真っ赤に染まった。

血管が額に浮きる。

「お、正気か!? 昨の夜、計画を見て納得したんじゃないのかよ! 曜の集まりにも来るって言っただろ!」

「納得なんて、度も言っていないわ。『計画を見せて』と言っただけよ」

私は淡に言い放った。

「を確認した結果、あまりにも杜撰で話にならないと判断したの。

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