"「月5万払うから」離婚した私に介護を頼む元夫" 第11話
『突然の躾なご連絡をお許しください。佐伯健さんと交際していた、玲奈と申します。美さんに、どうしてもお聞きしたいことがあり、健さんの帳に残っていた話番号からご連絡いたしました。もしご迷惑でなければ、しだけおをいただけないでしょうか』
……玲奈。
臓が、トクンと嫌なね方をした。健の浮気相であり、婚の直接の引きとなった女性。歳、メーカーの企画職。健より歳で、子どもを産む能性があると元義母がびしていた相。
なぜ、そのが私に?
最初は無しようとった。もう佐伯のとは、関わりたくない。だが、文面から滲みる切迫した気配が、ただの嫌がらせや勝ち誇りの連絡ではないことを物語っていた。
『わかりました。今の、駅ビルのカフェテラスなら』
く返信を打った。逃げる理由は何つない。やましいことなど、私には欠片もないのだから。
約束の分。指定した駅ビルのオープンカフェに現れた女性は、目で玲奈だと分かった。
仕てのいいキャメルのチェスターコートに、なメタルフレームの鏡。華美ではないが、洗練された都会ななり。だがその表には、い疲労と困惑が濃くを落としていた。
「佐伯美さん……ですね。
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急なわがままを聞いていただき、本当にありがとうございます」
玲奈はくをげ、私の向かいの席に腰をろした。注文した茶が運ばれてくるまで、のに苦しい沈黙が流れる。
員がった、玲奈は両でカップを包み込み、震える声でをいた。
「まず……お詫びをさせてください。私が健さんとお付きいを始めたこと、そしてそれがあなたのの婚姻関係を壊す引きになったこと……本当に、申し訳ありませんでした」
再び、くをげる。その謝罪に、嘘や誤魔化しはじられなかった。
「謝罪を受け取る気はありません。私と健さんの関係は、あなたがいなくてもいずれ破綻していましたから」
私はを交えずに言った。
「それで、私に何の確認ですか? 健さんから、復婚を申し込まれたことですか?」
玲奈はハッと顔をげ、苦い笑みを浮かべて首を振った。
「いいえ。健さんがあなたに復婚を迫ったことも、昨こっぴどく振られたことも、全部っています。昨晩、健さんが私のマンションに押しかけてきて、ドアので号泣しながら『おが母親を受け入れないから、美にも見捨てられた』って喚き散らしましたから」
喉の奥で、呆れが込みげてくる。本当に、どこまで救いようのない男なのか。
「私がお聞きしたかったのは……健さんと、あのお義母さんのことです」
玲奈は鏡の奥の目を細め、を乗りした。
「健さんは、私にずっとこう言っていました。『母親は元気で自しているし、妻は専業主婦で暇だったから、親孝の真似事をしてを潰していただけだ。君が結婚しても、母の面倒なんて切見なくていい、たまに顔を見せるだけでいい』と」
田辺さんが言っていたことと、完全に致する。あの親子は、に向かってそうやって嘘の板を掲げ続けていたのだ。
「でも、婚が成した途端、話が全部ひっくり返りました。健さんは『同居が無理なら、週には実にって母さんの夕飯を作ってやってくれ』『のどちらかは病院の送迎をしてくれ』と言いしました。お義母さんからも直接話がかかってきて、『若いんだからく仕事を辞めて子どもを産みなさい、そのに私の買い物をしなさい、のお嫁さんはもっと気が利いた』と鳴られて……」
玲奈の指先が、りと恐怖でくなっていた。
「私、健さんに聞いたんです。『美さんは、本当に暇つぶしでお義母さんの世話をしていたの?』って。そしたら健さんは言葉を濁して……私、自分で調べました。健さんの部に残っていた類ののに、あなたのスケジュール帳や、通院記録の控えが紛れ込んでいたんです」
玲奈はバッグから、枚のスマートフォンを取りした。
画面には、私が残してきたあの古いスケジュール帳のページが写しされていた。