"義母を沈めた十六時四十四分" 第7話
お待ちしています」とだけく返信した。
曜の朝、私は陽翔を信頼できる預かりの託児施設へ預けた。
「ママ、きょうはどこいくの?」と無邪気に尋ねる息子の柔らかな頬にキスをし、「ママ、ちょっとお仕事の片付けをしてくるね。夕方には美しいプリンを買って迎えにくるからね」と告げた。正午を過ぎ、静まり返ったアパートのリビング。
私はダイニングテーブルのに、ノートパソコンと、丁寧にファイリングした類の束を配置した。
ボイスレコーダーのスイッチを入れ、目たないペンてのに忍ばせる。午ちょうど、玄関のチャイムが鳴った。
ドアをけると、そこにはスーツを着て自然に胸を張った亮太と、勝ち誇った笑みを浮かべた貴恵がっていた。
は靴を脱ぐなり、同然の横柄な態度でリビングへとがり込んできた。「久しぶりね、紗智さん」
貴恵はソファの央にどっかりと腰をろし、見すような線を私に投げかけた。
「しは反省するが持てたかしら? 今はね、私たち輪としての最終決定を伝えに来たのよ」亮太は私の向かいの席に座り、わざとらしくため息をつきながら、枚の類をテーブルに叩きつけた。
緑の枠線が印刷された――婚届だった。
夫の欄には、すでに亮太の署名と捺印がなされていた。
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「単刀直入に言う」
亮太は、以の怯えたような態度とは打って変わり、酷な声で言い放った。
「おとはもうやっていけない。
性格の致、そしておの事放棄と俺に対するモラハラだ。おのせいで俺の体調は限界だ。診断もある」
亮太は胃腸クリニックで取ってきたのであろう、「ストレス性胃炎」とだけかれた枚の診断をこれ見よがしに指刺した。貴恵が扇子をパチンと鳴らし、追撃するようにを挟む。
「息子の健康をここまで害しておきながら、平然としているなんて母親失格よ。慰謝料は請求しないであげるから、この婚届にサインして、の回りのものだけ持ってていきなさい。
もちろん、陽翔の親権はこちらが持ちます。うちの実なら、あの子に自由のない暮らしをさせてあげられるわ」は、私が絶望して泣き崩れるか、あるいは取り乱して座を乞うと信じ切っていた。
彼らののでは、完全にシナリオが完成していたのだ。貧乏なパート妻を追いし、陽翔を取りげ、持ちの令嬢(だとい込んでいる真由美)をしい嫁に迎え入れ、実の借を帳消しにするという、あまりにも都の良い妄が。私は、ゆっくりと子に座った。
の顔を、じっと見つめる。
「……私の言いたいことは、あののLINEですべてお伝えしたはずですが」
私の静かな声に、貴恵が眉を吊りげた。
「まだそんな減らずを叩くの!? あの無礼極まりないメッセージ、あれこそがあなたが常識のない悪妻である決定な証拠よ! 親に向かってあんなを利くなんて、として終わってるわ!」 「そうですね」
私はく笑った。
「あのLINEを送った、お義母さんは『言いたいことがあるなら言え』と仰いました。だから私は、事実だけを申しげました。
そして今、その『事実』の続きを、おにお見せしようといます」 私は元のノートパソコンの画面をき、の方へ向けた。
そこには、調査会社が作成した膨な報告のデータが映しされていた。「……な、何だこれ」
亮太の表から、瞬に血の気が引いていくのが分かった。「佐久真由美さん。歳」
私がその名をにした瞬、亮太の喉から「ひっ」とい鳴が漏れた。
画面には、先週末にがホテルから腕を組んでてくる写真、真由美のマンションの鍵を使って慣れた様子で入りする亮太の写真が、スライドショーのように次々と表示される。「りょ、亮太……これ、何なの……?」
貴恵の声が狼狽に揺れた。
「あ、あなた、真由美さんとは……まだ清い交際で、紗智さんと別れてから正式に、って言ってたじゃないの!」「清い交際?」
私は淡に言い放った。
「交際期はヶ。
毎万円の送、計百万円。さらに、真由美さんのために購入したブランド品の数々。