"義母を沈めた十六時四十四分" 第2話
『息子さんはご自が体調を崩された際、お義母さんに「ご飯が抜き」「栄養がない」とチクられたようですが、30歳を過ぎたの男性が、自分の体調管理すら妻のせいにし、実の母親に告げをして方をつけようとする姿に、正直驚きを隠せません』
『「孫の成に響がる」とご配いただきましたが、何かあるとすぐ母親に頼り、妻に文句を言わせるような「父親の背」を子供に見せることこそ、教育、最の悪響ではないでしょうか』 気に打ち終えた文章を、私は読み返さなかった。
読み返せば、これまでの臆病な自分が顔をし、送信を取り消してしまうかもしれないとったからだ。
分。私は緑の送信ボタンをく押し込んだ。 メッセージが画面の側に吹きしとなって現れた瞬、胃の奥がせりがるような激しい鼓とともに、や汗が背筋を伝った。
しかし同に、何も肺の底に溜まっていた苦しいが、気に吐きされたような奇妙な爽があった。
もう戻りはできない。私はスマートフォンをバッグの奥底へ滑り込ませると、保育園へ向かうためににスーパーの従業員通用をた。
夕暮れのは、たいが吹き抜けていた。自転のカゴに仕事用のトートバッグを放り込み、ペダルを力任せに漕ぐ。
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保育園の玄関で陽翔の満面の笑顔を見ただけ、私の張った頬がわずかに緩んだ。
「おかあしゃん、きょうね、おすなばでトンネルつくったよ!」
「そう、にできたのね。帰ったらお呂に入って、温かいスープもうね」
さなを握りしめ、たいのを歩きながら、私は今夜吹き荒れるであろう嵐を覚悟していた。自宅のアパートに着き、陽翔にを洗わせ、夕の準備を始めたのは半を回った頃だった。
鶏肉と野菜を刻み、汁をとる。いつも通りの庭料理。どこが抜きで、どこが栄養だというのだろう。
亮太が健康診断で引っかかったこともないくせに、自分の摂を棚にげて私をなじるたび、義母はいつもこうして割って入ってきたのだ。し、玄関のドアが乱暴にく音が響いた。
靴を脱ぎ散らかす音、ドカドカと廊を踏み鳴らすい音。リビングの引き戸が激しい音をててけ放たれた。っていたのは、顔を真っ赤にして肩で息をしている亮太だった。には通勤カバンを握りしめ、ネクタイはきく歪んでいる。
「……おい、紗智」
をうようない声だった。
キッチンで菜箸を持ったまま振り返った私を、亮太は血った目で睨みつけていた。
「お、母さんに何てLINE送ったんだよ」やっぱり、そう来たか。
私は努めて平静を装い、コンロのをめた。
「送った通りのことよ。何か違っているかしら」
「違ってるに決まってんだろ!」
亮太の号がリビングに霊した。プレイスペースでブロック遊びをしていた陽翔がビクッと肩をねさせ、そうにこちらの様子を伺っている。
「母さん、ショックで寝込んじまったぞ! 泣きながら俺に話かけてきたんだぞ!?『あんな嫁に育てた覚えはない、息子を侮辱された』って! お、親に向かってあの言いは何なんだよ!
の男が告げしただの、教育悪響だの……よくもあんな恥らずな文章を送りつけられたな!」亮太はドカリとダイニングチェアにカバンを叩きつけた。その勢いで、テーブルののマグカップがカタカタと音をてる。
私はエプロンでを拭き、夫の正面にった。
「恥らずなのはどっち? を過ぎた男が、ちょっとお腹を壊したくらいで『嫁の飯が悪い』って母親に泣きつくのが恥ずかしくないの? 私だって毎パートにて、事も育児も全部でやってる。
あなたがをした、お粥を作って枕元に置いたのは誰? それをもべずにカップラーメンべて、お義母さんには『栄養がない』って吹き込んだの、あなたでしょう」「事実だろ! おがもっと気を使って、俺の好むものを作ればよかっただけの話だろ! 俺はで神経すり減らして働いてんだよ! 黒柱の体調管理をするのは妻の役目だろ!」