"亡き娘の純金バングルを、義母は義妹の再婚費用にしようとした" 第14話
「『森に代々伝わるパールのネックレスを、義姉さんが私の再婚のために譲ってくれた』と。……国の義姉さんのいも背負ってバージンロードを歩きたいのだと、そう言って涙ぐんでいたんです」
「代々伝わる物でもなければ、譲った事実もありません」奈緒が、震える声で告げた。
「先の初め、由梨ちゃんと健太が私の留守に箪笥を勝にけて、持ちしたんです。私が『返して、お姉ちゃんの事な形見なんだから』と何度も頼んでも、健太は『減るもんじゃないだろ』『が狭い』と鳴り……お義母さんからは『祝う気がないのか』と毎責めてられました」
田さんは言葉を失い、スクリーンショットのの婚約者の笑顔を凝していた。
「それだけではありません」
私は最の切り札を、テーブルのに滑らせた。昨、千恵子のバッグから回収した、貴属買い取りの予約伝票。
名:『ゴールド・リッチ 駅』品名:純製バングル(刻印あり・特注品)【残支払・最終引渡:昨 17:00】
「これは……?」
「美咲が歳になった、私が贈った純のバングルです。昨、美咲の回忌の命でした。私が納骨堂へ向かっている隙を見計らい、森の母と健太さんは、用品回収業者を呼んで美咲の遺品をすべて処分しようとしました。そして、この純のバングルだけを抜き取り、昨のに現化しようとしていたのです」
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「……なぜ」田さんの喉仏が、激しくした。「なぜ、そんなことを……」
「由梨さんの、ウェディングドレスの代の支払いに充てるためです」
私が淡々と告げた瞬、ラウンジの静寂が、恐ろしいほどの圧となって田さんにのしかかった。
「千恵子さんは私のでハッキリと言い放ちました。『由梨ちゃんが恥をかかないように、派な支度をさせなければいけない』『の物を使って何が悪い、きているの役につ方が供養になる』と」
田さんは両で顔を覆い、く、く沈黙した。その広い背が、ショックとりで微かに波打っている。
元で広く事業を営む名の次男。世体や礼節を何よりもんじる柄で育ったこの男性にとって、婚約者がの娘の遺品を着し、者の形見を売り払ったでドレスを着ようとしていたという事実は、耐えがたい侮辱であり、背信為だったに違いない。
どれほどのが流れただろうか。やがて、田さんはゆっくりと顔をげた。その瞳には、先ほどの苦悩のは消え失せ、徹な決が宿っていた。
「……さん、奈緒さん。く、お詫び申しげます」
田さんは席からちがり、私たちに向かって直角にくをげた。
「私の婚約者が、そして彼女の族が、くなられたお姉様と、ご遺族の皆様の尊厳をこれほどまでに冒涜していたとは……にもいませんでした。
私の徳の致すところです」
「田さんが謝る必はありません」私が言うと、田さんは静かに首を横に振った。
「いいえ。らなかったとはいえ、私はその嘘に塗り固められた見栄のに、あぐらをかいて結婚しようとしていたのです。……今夜の顔わせの席、予定通りいます」
田さんの声は、静かだったが、底れぬりを孕んでいた。
「そこで、すべてを清算します。おがこれ以傷つくことのないよう、私自の責任として、決着をつけさせていただきます」
同、午。内にある老舗料亭『藤乃井』。入れのき届いた本庭園を臨む、格調い広のには、異様な緊張が漂っていた。
部のからは、千恵子の甲い笑い声と、由梨の甘えたような声が漏れ聞こえていた。まだ何もらないは、名の親族同が集まるこの華やかな席で、いかに自分が劇のヒロインであり、いかに素らしい嫁であるかを演じる気満々だったのだろう。
ふすまがけ放たれた。
「皆様、お待たせいたしました」
田さんが部に入ると、座に座っていた千恵子と、振袖を着た由梨がパッと顔を輝かせた。
「まあ、亮介さん! 遅かったじゃないの!」千恵子が扇子をパタパタと仰ぎながら声を張りげる。「見てちょうだい、うちの親戚もみんな揃ったわよ。