"亡き娘の純金バングルを、義母は義妹の再婚費用にしようとした" 第7話
千恵子は息を呑み、縛りに遭ったようにを止めた。世体。あの女を縛る唯の鎖は、それだけだった。親戚や所に「息子の嫁の親から警察に通報された」とれ渡ることへの恐怖が、その醜いを縫い止めた。
奈緒はふらつく取りで寝へき、さなボストンバッグに荷物を詰め込んで戻ってきた。
リビングの隅に積まれた、美咲の遺品の段ボール箱。私はそれをつずつ、自分の両で抱えげた。
「おい、奈緒……待てよ」玄関をようとした、健太がすがるようなつきで奈緒の腕を掴もうとした。「悪かったって。俺が悪かったから……な? 今はお義母さんも興奮してるし、をやしたら、またで話しおう。な?」
奈緒はそのを、を捩るようにして避けた。
「……触らないで」
その声は、さかったけれど、の結婚活で度も夫に向けたことのない、絶対な拒絶のを帯びていた。
エレベーターをり、駐へ向かう。美咲の段ボール箱を私ののトランクと部座席にすべて詰め込み、助席に奈緒を乗せた。
駅の買い取りへち寄り、分証と戸籍謄本の写しを提示して、庫からされたあの純のバングルを取り戻した。ケースを受け取った瞬、指先から伝わってきたたい属のみが、私の胸を激しく締め付けた。
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美咲。守ったわよ。とりあえず、これだけは取り戻したからね。
助席の奈緒は、膝のに置いたボストンバッグを両で抱きしめたまま、微だにしなかった。の窓のを流れる見慣れた並みを、ただ茫然と見つめている。
私は何も聞かず、ただ黙って、実へのを急いだ。
実のリビングの引き戸をけると、使い古された畳と、美咲が昔炊いていたおの残りが、静かに私たちを迎えた。
「……座りなさい。お茶を淹れるわ」
奈緒を居の座卓のに座らせ、私は台所で湯を沸かした。急須に蒸し茶の茶葉をめに入れ、い湯を注ぐ。湯呑みからちるい湯気が、張り詰めていた私の神経をしだけ緩めてくれた。
居に戻ると、奈緒は正座をしたまま、両を膝ので固く握りしめていた。爪が皮膚にい込み、く鬱血している。
「みなさい」
座卓のに湯呑みを置くと、奈緒は「……うん」と掠れた声をし、両で湯呑みを包み込んだ。カチカチと、陶器と指先がぶつかる微かな音がする。まだ、震えが止まっていなかった。
「……ごめんなさい」
喉を潤した奈緒のから、最初に漏れたのは、絞りすような謝罪だった。
「お母さん、ごめんなさい……。お姉ちゃんの命なのに……お参りもけなくして……あんな、みっともないところ見せて……」
「謝るのをやめなさい」
私は奈緒の向かいに腰をろし、その張った両をから包み込んだ。氷のようにたいだった。
「あなたが謝る理由なんて、どこにもないわ。悪いのは、のいをで踏みにじったあのたちよ。……それより、奈緒」
私は娘の目をまっすぐに見つめた。
「あのに、美咲の物はまだ残っているの?」
奈緒はビクッと肩を揺らし、線を泳がせた。何かを隠そうとしているの、昔からの癖。
「……奈緒」
「……全部、持ってきたつもり」奈緒の声が震えている。「段ボールに入ってたノートも、写真も、お母さんがに乗せてくれたのが全部……」
「アクセサリーは?」
私の問いに、奈緒の呼吸が止まった。
「美咲が歳ののお祝いは、あのバングルだけじゃないわ。あの子、働き始めてから、自分でしずつ揃えていたでしょう。……それに、あのネックレスはどこへったの?」
居の空気が、瞬で凍りついた。
あのネックレス。美咲が代半、当付きっていた男性との結婚話がんでいた頃に、なけなしのボーナスを叩いて買ったアコヤ真珠の連ネックレス。
『いつか自分の結婚式で、ウェディングドレスにわせるの』
そう言って、誇らしそうに私と奈緒に見せてくれた、最級の真珠。結局、その婚約は相の浮気で破局し、美咲はそのネックレスを度もにつけないまま、切に桐箱の奥くに仕い込んでいたのだ。
美咲がくなった、あのネックレスも、奈緒が「実に置いてあるとお母さんが辛いから」